判旨
憲法違反を主張する上告であっても、その実質が原審の事実認定を非難するにすぎない場合は、特別上告の適法な理由とはならない。
問題の所在(論点)
憲法違反を名目としつつ、実質的に原審の事実認定を争う主張が、特別上告の適法な理由(民事訴訟法旧409条の3)として認められるか。
規範
特別上告において、形式的に憲法違反を主張していても、その実質が原審の事実認定の不当を訴えるものである場合には、民事訴訟法の定める適法な上告理由には当たらない。
重要事実
上告人が憲法違反を理由として特別上告を提起したが、その主張の内容は、原判決が行った事実認定の手続きや結果に対する不服申し立てであった。
あてはめ
上告人の論旨は憲法違反を称しているが、その実質的な内容は原審が適法に行った事実認定を非難することに帰着している。これは、法が定める憲法解釈の誤りや憲法違反という特定の事由には該当せず、上告理由としての適格性を欠く。したがって、適法な上告理由を見出すことはできない。
結論
本件上告は適法な理由を欠くため、棄却されるべきである。
実務上の射程
特別上告における不適法却下(または棄却)の典型例を示す。答案上は、憲法問題に擬制した事実誤認の主張が許されないことを説明する際の根拠として用いる。
事件番号: 昭和32(ヤ)7 / 裁判年月日: 昭和32年12月20日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】再審の訴えにおいて、主張される事実が民事訴訟法(旧法)420条1項所定の再審事由のいずれにも該当しない場合には、当該再審の訴えは不適法として却下される。 第1 事案の概要:再審原告は、最高裁判所の確定判決に対し、別紙記載(本判決文上は省略)の事由を根拠として再審の訴えを提起した。再審原告が主張した…
事件番号: 昭和29(オ)939 / 裁判年月日: 昭和30年4月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事訴訟法394条(現行312条1項・2項)所定の上告理由に該当しない事実認定の是非を争う主張は、適法な上告理由とはならない。 第1 事案の概要:上告人は、原審(控訴審)が行った証拠の採否および事実認定に不服があるとして上告を申し立てた。判決文からは具体的な紛争の背景や事実関係の詳細については不明…
事件番号: 昭和26(オ)592 / 裁判年月日: 昭和27年2月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】書証の原本と写しの同一性に関する事実誤認の主張は、単なる手続違背の主張にすぎず、憲法32条違反等の上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原審に提出された書証(甲第5号証)の写しが口頭弁論に顕出された原本と異なる内容であるにもかかわらず、原判決がこれを原本と即断・誤解して事実認定の資…
事件番号: 昭和30(オ)934 / 裁判年月日: 昭和32年11月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者が主張していない事実を前提とした価格算定の妥当性について、裁判所が判断を示さなかったとしても、理由不備の違法はない。 第1 事案の概要:上告人は、昭和25年当時における係争宅地の市場価格について、昭和27年に行われた第三者(DおよびE)間の売買価格を基準にすべきであると主張した。しかし、記録…