判旨
民事訴訟法394条(現行312条1項・2項)所定の上告理由に該当しない事実認定の是非を争う主張は、適法な上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
原審における証拠の採否および事実認定の当否を争うことが、民事訴訟法394条(旧法)所定の上告理由に該当するか。
規範
上告審において判断の対象となるのは、原判決における憲法解釈の誤りその他の憲法違反、または法律・命令・規則の解釈の誤りその他の法令違反に限られる。証拠の採否や事実認定の当否に関する非難は、特段の事情がない限り、法律上の上告理由には当たらない。
重要事実
上告人は、原審(控訴審)が行った証拠の採否および事実認定に不服があるとして上告を申し立てた。判決文からは具体的な紛争の背景や事実関係の詳細については不明である。
あてはめ
上告人の主張は、実質的に原審の証拠採択および事実認定を非難するものである。これは法的な解釈の誤りを指摘するものではなく、事実認定という事実界の判断を争うものにすぎない。したがって、民事訴訟法394条に掲げられた法令違反等の上告理由には該当しないと解される。
結論
本件上告は適法な上告理由を欠くため、棄却される。
実務上の射程
事実認定の是非は原則として上告理由にならないという民事訴訟の基本構造を示す。答案上は、上告審の審理範囲や上告理由の限定性を論じる際の前提として使用する。
事件番号: 昭和30(オ)934 / 裁判年月日: 昭和32年11月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者が主張していない事実を前提とした価格算定の妥当性について、裁判所が判断を示さなかったとしても、理由不備の違法はない。 第1 事案の概要:上告人は、昭和25年当時における係争宅地の市場価格について、昭和27年に行われた第三者(DおよびE)間の売買価格を基準にすべきであると主張した。しかし、記録…
事件番号: 昭和32(テ)22 / 裁判年月日: 昭和32年12月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を主張する上告であっても、その実質が原審の事実認定を非難するにすぎない場合は、特別上告の適法な理由とはならない。 第1 事案の概要:上告人が憲法違反を理由として特別上告を提起したが、その主張の内容は、原判決が行った事実認定の手続きや結果に対する不服申し立てであった。 第2 問題の所在(論点…
事件番号: 昭和33(オ)258 / 裁判年月日: 昭和35年2月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審が行った証拠の取捨選択および事実認定が適法である限り、上告審においてこれと異なる事実を主張して原判決を非難することは、上告理由にならない。 第1 事案の概要:上告人らは、原審が認定した売買の事実について、証拠の取捨選択や事実認定に誤りがあるとして、原判決の違法を主張し、上告を申し立てた。なお、…
事件番号: 昭和26(オ)830 / 裁判年月日: 昭和28年11月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が単なる訴訟法違反や事実誤認の主張に留まり、法令の解釈に関する重要な事項を含まない場合、上告は棄却される。 第1 事案の概要:上告人が提起した本件上告において、その論旨の内容が、原審における手続上の不備を指摘する訴訟法違反や、認定された事実に疑義を呈する事実誤認の主張に終始していた事案であ…
事件番号: 昭和27(オ)1125 / 裁判年月日: 昭和29年2月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が「民事上告事件の審判の特例に関する法律」所定の事由に該当せず、かつ法令の解釈に関する重要な主張を含まない場合、上告は棄却される。 第1 事案の概要:上告人が最高裁判所に対し上告を提起したが、その上告理由(論旨)が、当時の「民事上告事件の審判の特例に関する法律」1条1号から3号までのいずれ…