控訴審において係属中の反訴を追加的に変更するには、その請求の基礎が同一であり、かつ、これにより著しく訴訟手続を遅滞せしめなければ足り、相手方の同意を要しない。
控訴審において係属中の反訴を追加的に変更する場合の要件
民訴法232条,民訴法239条,民訴法382条
判旨
控訴審における反訴の追加的変更は、請求の基礎が同一であり、かつ訴訟手続を著しく遅滞させない限り、相手方の同意を得ることなく行うことが可能である。
問題の所在(論点)
控訴審において反訴を追加的に変更する場合、民事訴訟法300条1項の規定に基づき相手方の同意が必要となるか。それとも請求の基礎の同一性等があれば足りるか。
規範
控訴審において反訴を追加的に変更する場合、①請求の基礎が同一(民事訴訟法143条1項参照)であり、かつ、②これにより著しく訴訟手続を遅滞させないときは、相手方の同意(同法300条1項参照)を要せず、適法に行うことができる。
重要事実
上告人は原審において反訴を追加的に変更したが、これに対し相手方(被上告人)の同意がなかった。原審(控訴審)はこの反訴の変更を適法と判断したため、上告人は、控訴審における反訴の変更には相手方の同意が必要である旨を主張して上告した。
事件番号: 昭和41(オ)90 / 裁判年月日: 昭和43年10月15日 / 結論: 棄却
訴の変更申立を許すべからざるものと判断した場合には、その旨を判決の主文において宣言することを要するものではなく、理由中において説示すれば足りる。
あてはめ
本件における反訴の各請求は、請求の基礎が同一であると認められる。また、当該変更によって訴訟手続を著しく遅滞せしめる事情も認められない。したがって、民事訴訟法300条1項が定める反訴提起の際の原則(相手方の同意)にかかわらず、請求の変更に関する一般的な要件を充足している以上、相手方の同意は不要であると評価される。
結論
控訴審における反訴の追加的変更は、請求の基礎が同一で著しい遅滞を伴わない限り、相手方の同意がなくても適法である。
実務上の射程
反訴の「提起」には審級の利益保護のため相手方の同意が必要だが、既存の反訴を「変更(追加的変更)」する場合には、本訴の変更と同様に扱われ、同意は不要とするのが判例の確立した立場である。答案上は、審級の利益の有無(新たな争点による不意打ちの有無)に配慮しつつ、143条と300条の関係を整理する際に用いる。
事件番号: 昭和36(オ)1377 / 裁判年月日: 昭和37年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において初めて予備的請求を追加・申立てることは、当事者の審級の利益を奪うものではなく、適法である。 第1 事案の概要:被上告人(原告)は、上告人(被告)に対し、本件建物に関する権利を主張して訴えを提起した。第一審の判断を経て、控訴審(原審)において初めて予備的請求の申立てを行ったところ、原審…
事件番号: 昭和27(オ)163 / 裁判年月日: 昭和29年5月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審で追加された請求が、元の請求と請求原因を全く異にし、かつ元の請求の当否を判断する先決関係にもない場合、それは訴の変更に該当する。その変更が訴訟手続を遅延させると認められるときは、裁判所はこれを許容しないことができる。 第1 事案の概要:上告人は第一審において、対象土地の所有権確認および移転登…
事件番号: 昭和45(オ)362 / 裁判年月日: 昭和45年10月13日 / 結論: 棄却
第一審において反訴を提起していた当事者が、控訴審においてその反訴を変更する場合には、その請求の基礎が同一であれば足り、相手方の同意を要しない。
事件番号: 昭和26(オ)813 / 裁判年月日: 昭和29年1月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事情変更の原則が適用されるためには、契約成立当初の法律上の効果をそのまま発生・維持させることが著しく信義衡平に反する場合であることを要する。 第1 事案の概要:上告人は、契約成立後の事情変更(詳細は判決文からは不明)により、当初の契約の効力を維持することが不当であると主張して上告した。原審は、当該…