第一審において反訴を提起していた当事者が、控訴審においてその反訴を変更する場合には、その請求の基礎が同一であれば足り、相手方の同意を要しない。
第一審において反訴を提起していた当事者が控訴審においてその反訴を変更する場合の要件
民訴法232条,民訴法239条,民訴法382条
判旨
控訴審において反訴を変更する場合、その請求の基礎の同一性があれば足り、相手方の同意を得る必要はない。
問題の所在(論点)
第一審で既に反訴を提起していた当事者が、控訴審においてその反訴を変更する場合、民事訴訟法第300条(旧382条)の「相手方の同意」を要するか。
規範
控訴審における反訴の提起は、相手方の同意を要するのが原則であるが、既に第一審で適法に提起されていた反訴を変更する場合には、民事訴訟法第143条第1項(旧232条、現143条1項参照)の請求の変更の例によるべきである。したがって、その請求の基礎に同一性がある限り、相手方の同意を要せず、当然に適法に認められる。
重要事実
上告人(控訴人)が提起した本案に対し、被上告人(被控訴人)は第一審において反訴を提起していた。被上告人は控訴審において、その反訴の内容を変更する申し立てを行ったが、これに対し相手方である上告人の同意があった事実は認められない。上告人は、控訴審における反訴の変更には相手方の同意が必要であると主張して、その適法性を争った。
事件番号: 昭和49(オ)717 / 裁判年月日: 昭和50年6月27日 / 結論: 棄却
控訴審において係属中の反訴を追加的に変更するには、その請求の基礎が同一であり、かつ、これにより著しく訴訟手続を遅滞せしめなければ足り、相手方の同意を要しない。
あてはめ
本件において、被上告人が控訴審で行った反訴の変更は、第一審から継続している反訴請求を前提としたものである。控訴審における新たな反訴提起とは異なり、既存の反訴の変更は請求の基礎の同一性という枠組みで規律されるべき事案である。本件の変更された請求が基礎の同一性を有している以上、相手方の同意という追加の要件を課す必要はなく、変更手続は適法に行われたと評価される。
結論
控訴審における反訴の変更は、請求の基礎が同一であれば相手方の同意を要せず適法である。
実務上の射程
反訴の「提起」と「変更」を区別する。控訴審での新規反訴には審級の利益保護のため同意が必要(民訴法300条1項)だが、既存反訴の「変更」は請求の基礎が同一なら143条1項により同意不要とする。答案では、反訴の追加的変更などの場面で、相手方の審級の利益を不当に害しない範囲(請求の基礎の同一性)に限定して活用する。
事件番号: 昭和38(オ)295 / 裁判年月日: 昭和39年10月27日 / 結論: 棄却
代理人が本人のためにする意思をもつて買受契約を締結する当時は、本人のためにすることを明示しなかつたが、後に代金を支払うときには、買主が本人であることを明らかにする等判示のような事情があるときは、「本人ノ為メニスルコト」を表示して契約をしたものと解するのが相当である。
事件番号: 昭和41(オ)1012 / 裁判年月日: 昭和44年2月27日 / 結論: 棄却
不動産の譲受人を債権者とし譲渡人を債務者として右不動産について処分禁止の仮処分登記が経由され、その後第三者に対する所有権移転登記が経由された場合において、仮処分債権者たる譲受人より譲渡人に対する本案訴訟としての所有権移転登記手続請求の訴と右第三者に対する所有権取得登記の抹消登記手続請求の訴とが併合して審理され、仮処分債…
事件番号: 昭和42(オ)427 / 裁判年月日: 昭和42年12月19日 / 結論: 棄却
仮登記原因の疎明の有無は、仮登記仮処分命令の効力に消長をきたすものではない。
事件番号: 昭和44(オ)1270 / 裁判年月日: 昭和46年11月30日 / 結論: 棄却
相続人が、被相続人の死亡により、相続財産の占有を承継したばかりでなく、新たに相続財産を事実上支配することによつて占有を開始し、その占有に所有の意思があるとみられる場合においては、被相続人の占有が所有の意思のないものであつたときでも、相続人は民法一八五条にいう「新権原」により所有の意思をもつて占有を始めたものというべきで…