一 上告人(控訴人)訴訟代理人の所為が、上告理由第一点記載の通りであつたか否かを問わず、当事者双方が口頭弁論期日に不出頭の場合、民訴法第一二七条の釈明権の行使として、当事者に対し、所論のごとき処置を採るべき裁判所の義務は存しない。 二 当事者双方が口頭弁論期日に不出頭の場合、証拠調の施行など、裁判所が職権で施行すべき手続の存する場合を除き、裁判長に新期日指定義務は存しない。
一 当事者双方の口頭弁論期日不出頭と民訴法第一二七の釈明権 二 右不出頭の場合と裁判長の期日指定義務
民訴法127条,民訴法152条,民訴法238条
判旨
口頭弁論期日に当事者双方が不出頭となった場合、裁判所は、証拠調べ等の職権で施行すべき手続がある場合を除き、釈明権の行使として適切な処置を講じたり、職権で新期日を指定したりすべき義務を負わない。
問題の所在(論点)
口頭弁論期日に当事者双方が不出頭となった場合に、裁判所に(1)釈明権の行使としての適切な処置を講じる義務、および(2)職権で新期日を指定する義務が認められるか(旧民訴法262条、現行民訴法263条に関連して)。
規範
口頭弁論期日に当事者双方が不出頭となった場合(いわゆる「双方欠席」)、裁判長には、証拠調べの施行など裁判所が職権で施行すべき手続が存在する場合を除き、職権で新期日を定めるべき義務はない。また、民事訴訟法上の釈明権(現行149条)の行使として、不出頭の当事者に対し特定の処置を採るべき義務も認められない。
重要事実
昭和38年10月14日の口頭弁論期日において、控訴当事者の双方が不出頭であった。その後、昭和39年1月30日になって初めて控訴人(上告人)から期日指定の申立てがなされた。上告人は、双方が不出頭であった際に裁判所が釈明権を行使して適切な処置を講じなかったこと、および職権で新期日を指定しなかったことは違法であると主張して上告した。
事件番号: 昭和40(オ)319 / 裁判年月日: 昭和41年11月22日 / 結論: 棄却
裁判所は、訴訟が裁判をするに熟するときは、当事者双方不出頭の場合でも弁論を終結し、判決言渡期日を指定することができ、この場合には更めて呼出をせずに、該指定期日に判決を言渡しても違法ではない。
あてはめ
本件では、昭和38年の期日に双方が不出頭であることが認められる。この際、裁判所には釈明権の行使として当事者に特定の処置を講じるべき義務はない。また、証拠調べなど裁判所が職権で施行すべき特段の手続が存在したことも認められない。したがって、裁判長が自ら新期日を指定しなかったとしても、それは裁判所の義務に違反するものではなく、適法な訴訟運営であるといえる。控訴人が約3か月半の間、期日指定の申立てを怠った結果が生じたとしても、それは当事者の責任に帰すべきものである。
結論
裁判所には職権での期日指定義務や釈明権行使の義務はなく、原審の訴訟手続に違法はない。したがって、本件上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
訴訟の中止・終了(現行民訴法263条の訴え取下げ擬制)に関連する判断枠組みである。当事者が期日を懈怠した場合の不利益は、原則として当事者が負うべきであり、裁判所の職権による救済義務は限定的(職権証拠調べが必要な場合等)であることを示している。司法試験においては、訴え取下げ擬制の要件充足性を検討する際の「期日の適法性」や「裁判所の義務違反」の有無を判断する材料として機能する。
事件番号: 昭和39(オ)1099 / 裁判年月日: 昭和40年7月16日 / 結論: 棄却
(昭和二三年(オ)第一九号昭和二三年五月一八日第三小法廷判決(判例集第二巻五号一一五頁)を参照する判決例)。
事件番号: 昭和34(オ)229 / 裁判年月日: 昭和37年3月16日 / 結論: 棄却
一 訴訟代理人に対して、口頭弁論期日の呼出状の送達がなされなかつたが、同代理人が同期日前に裁判所に出頭して受任事件記録を閲覧した際、同期日の指定を知つたが期日には出頭しなかつたときには、同代理人は同期日に出頭して同期日呼出手続の違法について異議を述べる機会があつたにもかかわらず、これをしなかつたのであるから、右違法につ…
事件番号: 昭和47(オ)1103 / 裁判年月日: 昭和48年11月30日 / 結論: 棄却
適法な呼出を受けながら当事者双方が口頭弁論期日に出頭しない場合に、本人尋問の採用を取消す決定が言渡されたときは、右決定の告知は、当事者双方に対してその効力を生ずる。
事件番号: 昭和40(オ)463 / 裁判年月日: 昭和42年6月27日 / 結論: 棄却
単に「やむをえぬ出頭不能の事情が発生した」というだけでは、民訴法第一五二条第五項にいう「顕著ナル事由」にあたらない。