一 訴訟代理人に対して、口頭弁論期日の呼出状の送達がなされなかつたが、同代理人が同期日前に裁判所に出頭して受任事件記録を閲覧した際、同期日の指定を知つたが期日には出頭しなかつたときには、同代理人は同期日に出頭して同期日呼出手続の違法について異議を述べる機会があつたにもかかわらず、これをしなかつたのであるから、右違法についての責問権を喪失したものというべきである。 二 訴訟代理人に対して、口頭弁論期日の呼出状の送達はなされなかつたが、死亡した前代理人の遺族から同人に対する弁論期日の呼出状の交付を受け、かつ裁判所の過誤によつて同姓の相手方代理人に対する同期日の呼出状を受領したことによつて同期の日時を知りながら同期日に出頭しなかつたときは、同代理人は同期日に出頭して異議を述べる機会があつたにもかかわらず、これをしなかつたのであるから、右違法についての責問権を喪失したものというべきである。 三 当事者に対する口頭弁論期日呼出の手続に違法な点があつても、裁判所は、必ずしも、新期日を指定し、当事者を呼び出す必要があるわけのものでもない。
一 口頭弁論期日呼出手続の違法について責問権を喪失したと認められた事例 二 口頭弁論期日呼出手続の違法と新期日の指定の要否
民訴法141条,民訴法152条,民訴法154条,民訴法160条
判旨
口頭弁論期日の呼出手続に違法があっても、当事者が期日の指定を現に知っていたなど異議を述べる機会があった場合には、期日に出頭せずとも責問権を喪失し、当該手続の違法を主張できなくなる。
問題の所在(論点)
口頭弁論期日の呼出手続に違法(呼出状の不送達等)がある場合、当事者が期日の指定を現に知りつつ欠席したことによって、当該手続違背を主張する責問権(民事訴訟法90条)を喪失するか。
規範
当事者が期日の指定を現に知り、当該期日に出頭して呼出手続の違法について異議を述べる機会があったにもかかわらず、これを行わなかった場合には、訴訟手続の規定の違反について異議を述べる権利(責問権)を喪失する。この場合、裁判所は必ずしも新期日を指定して再度呼び出す必要はない。
事件番号: 昭和39(オ)1074 / 裁判年月日: 昭和40年10月19日 / 結論: 棄却
一 上告人(控訴人)訴訟代理人の所為が、上告理由第一点記載の通りであつたか否かを問わず、当事者双方が口頭弁論期日に不出頭の場合、民訴法第一二七条の釈明権の行使として、当事者に対し、所論のごとき処置を採るべき裁判所の義務は存しない。 二 当事者双方が口頭弁論期日に不出頭の場合、証拠調の施行など、裁判所が職権で施行すべき手…
重要事実
控訴人代理人Eは、訴外の者の遺族から本件口頭弁論期日の呼出状の交付を受け、また被控訴人代理人Dに対する呼出状も受領したことで、期日の日時を把握していた。一方、被控訴人代理人Dも、期日前に記録を閲覧した際に期日の指定を知った。しかし、両代理人ともに当該期日に出頭せず、呼出手続の違法について異議を述べることもなかった。
あてはめ
被控訴人代理人Dは記録閲覧により、控訴人代理人Eは他者への呼出状の受領等により、いずれも本件期日の指定を具体的に認識していたといえる。両名には期日に出頭して手続違背を指摘する機会が十分に保障されていた。それにもかかわらず、敢えて出頭せず異議を述べなかった以上、手続の適正に対する期待は保護されず、責問権を喪失したものと解するのが相当である。
結論
呼出手続に違法があっても、当事者が期日を知り異議を述べる機会があった以上、責問権の喪失により原判決に違法はない。上告棄却。
実務上の射程
手続違背を知り得た当事者が、あえて期日に欠席することで後日に手続の瑕疵を主張し、訴訟を遅延させることを防ぐ趣旨。答案上では、期日呼出の不備がある事案において、当事者の主観的認識や異議申立ての機会の有無を検討し、責問権喪失の成否を論じる際に活用する。
事件番号: 昭和47(オ)1103 / 裁判年月日: 昭和48年11月30日 / 結論: 棄却
適法な呼出を受けながら当事者双方が口頭弁論期日に出頭しない場合に、本人尋問の採用を取消す決定が言渡されたときは、右決定の告知は、当事者双方に対してその効力を生ずる。
事件番号: 昭和39(オ)1099 / 裁判年月日: 昭和40年7月16日 / 結論: 棄却
(昭和二三年(オ)第一九号昭和二三年五月一八日第三小法廷判決(判例集第二巻五号一一五頁)を参照する判決例)。
事件番号: 昭和38(オ)877 / 裁判年月日: 昭和39年7月21日 / 結論: 棄却
当事者双方に対し適法な期日の呼出または告知がされて開かれた弁論期日に、当事者の一方が不出頭のまま弁論が終結され、判決言渡期日の指定告知があったときは、その告知は右期日に出廷していなかった当事者に対しても効力を生じる。
事件番号: 昭和25(オ)118 / 裁判年月日: 昭和28年3月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】口頭弁論終結後、裁判官が退廷した後に書記官と当事者一方が法廷に居残ったとしても、その事実のみで直ちに訴訟手続または判決が違法となるわけではない。また、判決書における「控訴人」と「被控訴人」の誤記が判決の結果に影響を及ぼさない場合には、上告理由とはならない。 第1 事案の概要:上告人(控訴人)は、原…