適式に期日の告知を受けた訴訟代理人が期日前に辞任した場合、改めて当事者本人に対する期日呼出をする必要はない。
期日告知を受けた訴訟代理人が期日前に辞任した場合と本人呼出の要否。
民訴法154条
判旨
訴訟代理人が辞任した後に改めて本人に対する期日呼出しを行わずに弁論を終結しても、従前の期日指定が適法である限り、手続上の違法はない。また、辞任前の期日で攻撃防御方法の陳述機会が確保されていたのであれば、審理不尽や憲法違反の問題も生じない。
問題の所在(論点)
訴訟代理人の辞任後、裁判所が本人に対し改めて期日の呼出しを行うことなく弁論を終結した手続が、民事訴訟法上の適法な期日の開始といえるか。また、それが審理不尽や憲法違反を構成するか。
規範
訴訟代理人が存在した当時に次回の口頭弁論期日が適法に告知されている場合、その後に代理人が辞任したとしても、裁判所が改めて本人に対して当該期日の呼出しを行う義務はない。また、既に弁論において攻撃防御方法を提出する機会が与えられていた場合には、本人の欠席状態で弁論を終結しても、審理不尽や裁判を受ける権利等の憲法規定に違反するものではない。
重要事実
控訴審において、上告人の訴訟代理人が第一回口頭弁論期日に出頭し、控訴の趣旨を陳述するとともに相手方の答弁を聴取した。その際、次回の口頭弁論期日が適式に告知された。しかし、次回の期日前に訴訟代理人が辞任し、当該期日には上告人本人が欠席した。裁判所は本人に対する再度の呼出しを行わず、そのまま弁論を終結して判決を言い渡した。上告人は、これが審理不尽であり憲法13条、29条に違反すると主張して上告した。
あてはめ
本件では、次回の口頭弁論期日の告知は、当時の訴訟代理人が出頭していた前回期日において適式になされている。したがって、代理人の辞任後に本人へ重ねて期日の呼出しをしなかったとしても、期日の開始に違法はない。また、辞任前の第一回期において代理人が控訴状に基づき陳述を行い、相手方の主張も把握していることから、攻撃防御方法を提出する機会は十分に保障されていたといえる。上告人は具体的な未提出の攻撃防御方法を明示しておらず、審理不尽があったとは認められない。適法な手続が踏まれている以上、憲法違反の主張も前提を欠く。
結論
本件の口頭弁論期日の進め方および弁論終結の手続に違法はなく、審理不尽や憲法違反も認められないため、上告を棄却する。
実務上の射程
代理人が辞任した際の期日呼出しの要否に関する実務上の指針となる。答案上は、訴訟手続の適法性を論じる際、適式な期日の告知の効果は代理人の辞任によって消滅しないこと、及び攻撃防御方法の陳述機会が形式的に確保されていたかを判断する際の論拠として利用できる。
事件番号: 昭和36(オ)574 / 裁判年月日: 昭和37年1月26日 / 結論: 棄却
口頭弁論期日において訴訟代理人に次回期日の告知がなされた後、訴訟代理人が辞任しても、右期日の告知の効力は本人に及ぶから、その出頭なくして期日を開き弁論を終結しても違法でない。