判旨
口頭弁論期日に当事者が不出頭であっても、裁判所は常に期日を変更したり弁論を再開したりする義務を負わない。特に、代理人の辞任届が期日後に提出されたような場合において、不出頭のまま弁論を終結した手続に違法はない。
問題の所在(論点)
当事者の代理人が口頭弁論期日に不出頭であり、かつ期日前後に辞任等があった場合において、裁判所が期日を変更せず、または弁論を再開せずに結審したことが、民事訴訟法上の手続違背(現行民訴法160条等)に当たるか。
規範
口頭弁論期日において当事者(または代理人)が出頭しない場合であっても、裁判所には当然に期日を変更すべき義務や、終結した弁論を再開すべき義務があるわけではない。訴訟手続の円滑な進行と当事者の手続保障の均衡の観点から、適式な呼出しがなされている限り、裁判所はそのまま弁論を終結させることができる。
重要事実
上告人の代理人は、原審における第1回口頭弁論期日(昭和31年6月14日)に向けて適式な呼出しを受けていたが出頭しなかった。被上告人は出頭し、第1審における口頭弁論の結果を陳述した。上告代理人は、当該期日の弁論終結前に辞任したと主張したが、実際の辞任届が裁判所に受け付けられたのは期日翌日の6月15日であった。原審は上告人側の不出頭のまま弁論を終結し判決を言い渡したため、上告人が手続違背を理由に上告した。
あてはめ
本件において、上告代理人は適式な呼出しを受けており、期日に出頭することが可能であった。代理人は期日前の辞任を主張するが、裁判所に対する辞任届の提出(受付印)は期日の翌日である。そうであれば、裁判所から見て期日当日に代理権が消滅していたとはいえず、また不出頭について正当な理由があるとも認められない。したがって、裁判所が期日を変更せず、被上告人の陳述のみに基づき弁論を終結した判断は、訴訟指揮権の範囲内として適法である。
結論
裁判所が期日の変更や弁論の再開を行わず、当事者の一方が不出頭のまま弁論を終結しても、適式な呼出し等の手続が守られている限り違法ではない。本件の上告は棄却される。
実務上の射程
当事者の欠席時における訴訟指揮の裁量を認めた判例である。答案上は、弁論再開の申立てを却下した決定の当否や、手続保障の限界が問題となる場面で、裁判所の裁量を肯定する根拠として活用できる。ただし、現代の訴訟実務においては、当事者の手続的権利をより慎重に検討する必要がある点に留意する。
事件番号: 昭和31(オ)774 / 裁判年月日: 昭和32年12月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】和解勧告の実施および和解協議を理由とする期日延期申請の許否は裁判所の裁量に属し、適式な呼出しを受けた当事者が欠席した期日で弁論を終結し判決言渡期日を告知することは適法である。 第1 事案の概要:控訴審(原審)の第5回口頭弁論期日において、上告人(当事者)側は適式な呼出しを受けていたが出頭しなかった…
事件番号: 昭和37(オ)664 / 裁判年月日: 昭和38年3月29日 / 結論: 棄却
適式に期日の告知を受けた訴訟代理人が期日前に辞任した場合、改めて当事者本人に対する期日呼出をする必要はない。