一 弁論の再開を命ずると否とは裁判所の専権事項であつて、裁判所が当事者の弁論再開の申請を採用しなかつたため、新な証拠の提出ができなかつたとしても、それは証拠申出を不当に制限したものとはならない。 二 当事者の一方が適法な呼出を受けながら口頭弁論期日に出頭しない場合に、裁判所が口頭弁論を終結し、裁判長において判決言渡期日を指定してこれを当事者に告知したときは、その告知は在廷しない当事者に対してもその効力を有する。 三 当事者の一方が判決言渡期日を適法に告知されながら右期日に出頭しない場合に、言渡期日が変更され次回期日が指定告知されたときは、その告知は在廷しない当事者に対してもその効力を有する。
一 弁論再開をしなかつたことは証拠申出の不当制限になるか 二 当事者一方の欠席と判決言渡期日の告知の効力 三 判決言渡期日変更の告知と不出頭当事者に対する効力
民訴法133条,民訴法137条,民訴法207条,民訴法190条2項
判旨
口頭弁論期日に不出頭の当事者に対し、裁判長が指定した判決言渡し期日の告知は、在廷しない者にも効力を有し、重ねて呼出状を送達することを要しない。また、一度終結した弁論を再開するか否かは裁判所の裁量に属し、再開申請を容認しなくても違法ではない。
問題の所在(論点)
1. 弁論終結後の当事者による弁論再開申請に対し、裁判所がこれを容認しなかったことの是非。 2. 不出頭の当事者に対し、期日において告知された判決言渡し期日(およびその変更期日)の呼出状を送達する必要があるか。
規範
1. 裁判所が事件を裁判をするに熟すると認めて弁論を終結した後は、当事者から弁論再開の申請があっても、これに応じるか否かは裁判所の専権事項(裁量)であり、再開しないことが当然に違法となるものではない。 2. 適法な呼出しを受けながら期日に出頭しない当事者に対し、裁判長が次回の判決言渡し期日を指定・告知した場合、その告知は在廷しない当事者に対しても効力を生じる(民事訴訟法94条2項参照)。その後、当該期日がさらに変更された場合の告知も同様であり、改めて呼出状を送達する必要はない。
重要事実
控訴人(上告人)らは控訴審の第1回口頭弁論期日に出頭せず、裁判所は弁論を終結した。控訴人らは弁論終結後に証人尋問等を求めて弁論再開を申請したが、原審はこれを認めず判決を言い渡した。また、原審は口頭弁論期日において判決言渡し期日を指定し、後にその期日を延期・変更したが、不出頭であった控訴人らに対して改めて呼出状の送達は行わなかった。控訴人らは、弁論再開を認めなかった点および判決期日の呼出状が送達されなかった点の違法を主張して上告した。
あてはめ
1. 弁論の再開は裁判所の専権に属する事項(旧民訴法133条)であり、当事者の申請は裁判所の職権発動を促すものにすぎない。本件で原審が証拠提出の機会を改めて与えるために弁論を再開しなかったとしても、不当な制限には当たらない。 2. 控訴人らは第1回期日に適法な呼出しを受けながら不出頭であったところ、同期日に指定・告知された判決言渡し期日は、民訴法(旧法190条2項等)の規定により不出頭の者にも告知の効力が及ぶ。その後の期日変更の言渡しも同様であり、呼出状の欠缺を理由とする手続違背(絶対的上告理由等)には該当しない。
結論
原審の判断に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
裁判所の期日運営における裁量権と期日告知の効力を認めた実務上重要な判例である。答案上は、弁論再開申請を拒絶しても直ちに手続保障に反しないこと、および「期日における告知」が不出頭者にも及ぶことを論証する際の根拠となる。
事件番号: 昭和31(オ)776 / 裁判年月日: 昭和32年4月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】口頭弁論期日に当事者が不出頭であっても、裁判所は常に期日を変更したり弁論を再開したりする義務を負わない。特に、代理人の辞任届が期日後に提出されたような場合において、不出頭のまま弁論を終結した手続に違法はない。 第1 事案の概要:上告人の代理人は、原審における第1回口頭弁論期日(昭和31年6月14日…