判旨
和解勧告の実施および和解協議を理由とする期日延期申請の許否は裁判所の裁量に属し、適式な呼出しを受けた当事者が欠席した期日で弁論を終結し判決言渡期日を告知することは適法である。
問題の所在(論点)
裁判所には和解勧告を行う義務があるか、また、和解協議中を理由とする期日延期申請を許容する義務があるか。さらに、欠席した当事者に対する判決言渡期日の告知の効力が問題となる。
規範
1. 和解の勧告を行うか否かは裁判所の合理的な裁量に属する。 2. 和解進行中であることを理由とする口頭弁論期日の延期申請について、これを許容するか否かも裁判所の裁量に属する。 3. 適式な呼出しを受けた当事者が欠席した期日において弁論を終結し、判決言渡期日を告知した場合、その告知の効力は不出頭の当事者に対しても及ぶ。
重要事実
控訴審(原審)の第5回口頭弁論期日において、上告人(当事者)側は適式な呼出しを受けていたが出頭しなかった。上告人は、和解進行中であるとして期日延期の申請を行っていたが、原裁判所はこれを認めず、当該期日で弁論を終結し、判決言渡期日を告知した。上告人は、和解勧告を行わずに弁論を終結したことや、延期申請を却下して弁論を終結したことが違法であると主張して上告した。
あてはめ
まず、和解の勧告は裁判所の裁量事項であり、和解勧告を行わなければならない義務はない。次に、本件では第5回口頭弁論期日が実質的な審理期日に該当するところ、和解協議中であるからといって当然に延期申請を認める必要はなく、裁判所が期日を進行させた判断に裁量権の逸脱はない。また、上告人の代理人は適式な呼出しを受けており、不出頭であっても期日においてなされた判決言渡期日の告知の効力は有効に生じている。したがって、手続上の違法は認められない。
結論
原審の訴訟手続に違法はなく、弁論を終結して判決を言い渡した判断は適法であるため、上告は棄却される。
実務上の射程
裁判所の訴訟指揮権および和解に関する広範な裁量を認めた事例である。答案上では、期日延期の要件(民事訴訟法160条等)に関連し、和解協議中という事情が直ちに「顕著な事由」に当たるとは限らず、裁判所の裁量が優先される文脈で使用できる。また、不出頭当事者に対する期日告知の効力(同法94条・151条等)の論証を補強する材料となる。
事件番号: 昭和33(オ)533 / 裁判年月日: 昭和34年5月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】口頭弁論における裁判所の釈明や当事者の主張は、当事者が予想し得ない事項によって不意打ちを受けることを避けるという趣旨に照らし、既に当事者が自ら主張し争点としている事項に関連するものであれば、手続法上の違法とはならない。 第1 事案の概要:上告人(賃借人)は、本件建物の統制賃料額が月800円以下であ…