一 原告の権利を否認する被告において、その権利を第三者の権利であると主張するときでも、その結果原告の権利者としての地位に危険を及ぼす虞が現に存する場合は、その被告に対し権利の確認を求める利益があると解すべきである。 二 券面額のある金銭債権にあたらない権利を目的として発せられた転付命令は、実体法上その内容にそう権利移転の効果を生ずるものではない。 三 有限会社の持分の帰属については、争ある当事者の間のほか当該会社との間でこれを合一に確定しなければならないものではない。
一 権利が自己に属することを主張しない者に対する確認の利益。 二 券面額のある金銭債権にあたらない権利を目的とする転付命令の効力。 三 有限会社の持分の帰属の確認訴訟は会社との間で必要的共同訴訟か。
民訴法225条,民訴法600条,民訴法601条,民訴法第1編第4章第4節裁判,民訴法62条
判旨
確認の訴えにおける確認の利益は、被告が原告の権利を否認することにより、原告の地位に危険・不安定等の不利益を及ぼすおそれが現に存在する場合に認められ、有限会社の持分について転付命令がなされたとしても、実体法上の権利移転の効力は生じない。
問題の所在(論点)
1.被告自身が権利を主張せず第三者の権利を主張する場合において、原告の確認の利益(被告適格)が認められるか。2.有限会社の持分を対象とする転付命令により、実体法上の権利移転の効力が生じるか。
規範
確認の利益が認められるためには、被告が当該権利が自己に帰属すると主張するか、第三者に帰属すると主張するかを問わず、被告が原告の権利を否認する結果、原告の権利者としての地位に危険、不安定等の不利益を及ぼすおそれが現に存在することを要する。また、有限会社の持分は券面額のある金銭債権に当たらないため、これを目的とする転付命令は、実体法上の権利移転の効力を生じない。
重要事実
事件番号: 昭和37(オ)875 / 裁判年月日: 昭和40年1月19日 / 結論: 棄却
土地の共有者がその持分権のみを第三者に移転するには、他の共有者の同意は不要である。
被上告人が有していた有限会社の持分について、上告人A1が転付命令を受け、これを上告人A2に譲渡した。当該持分は社員名簿上A2の名義となっていた。被上告人は、上告人らに対し持分権の確認を求めて提訴したが、A1は現在持分が自己に属することを主張していないとして、確認の利益(被告適格)を争った。また、転付命令による権利移転の有効性も問題となった。
あてはめ
1.上告人A1は、自ら有効に持分を取得しA2に譲渡したと主張しており、かつ社員名簿上もA1を経てA2の名義となっている。被上告人が名義を回復するにあたり、A1の主張は障害となるため、A1との間でも権利の帰属を確定する利益が認められる。2.有限会社の持分は民事訴訟法(当時)の「券面額のある金銭債権」に該当しない。したがって、執行手続上当然に無効とはいえないとしても、実体法上の権利移転の効果を発生させることはない。
結論
被告が権利を否認し原告の地位に危険を及ぼす以上、被告が第三者の権利を主張する場合でも確認の利益は認められる。また、有限会社持分の転付命令は実体法上無効であり、被上告人の持分確認請求は正当である。
実務上の射程
確認の利益の要件(権利保護の資格・対象の適切性・即時確定の利益)のうち、「被告適格」の判断基準を示した重要判例である。特定の紛争解決のために、現在権利を主張していない前主等であっても、その主張が原告の法的地位に不安を及ぼしている場合には被告となり得ることを示している。
事件番号: 昭和32(オ)1168 / 裁判年月日: 昭和35年2月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地上の立木を買い受けたとする第三者が土地共有持分権を争っている場合、土地共有持分権の確認を求める訴えには確認の利益が認められる。 第1 事案の概要:被上告人(原告)は、本件土地の共有持分権を有している。これに対し、上告人A1(被告)は、本件土地上の立木を上告人A2より買い受けたとして、被上告人の…