判旨
裁判所は、訴訟が判決をなすに熟すると認めるときは職権で弁論を終結させることができ、一度終結した弁論を再開するか否かは裁判所の合理的な裁量に委ねられる。
問題の所在(論点)
裁判所が職権で弁論を終結することの可否、および終結後の弁論再開申請を排斥することの適法性が、裁判所の合理的な裁量の範囲内として認められるか。
規範
裁判所は、訴訟が判決をなすに熟すると認めるときは、職権をもって弁論を終結することができる(民事訴訟法243条1項参照)。また、一度終結した弁論を再開するか否かは、裁判所の裁量に委ねられている事項である。したがって、当事者が新たな攻撃防御方法を提出するために弁論の続行や再開を求めたとしても、裁判所が必ずしもこれに応じる義務はない。
重要事実
上告人は、原審(控訴審)において新たな主張および証拠(新主張・新証拠)の提出を予定していたが、原審裁判所は訴訟が裁判をなすに熟したと判断して弁論を終結した。上告人は弁論再開の申請を行ったが、原審はこれを採用せずに判決を言い渡した。これに対し上告人は、新主張等の申出の機会を奪われたこと等が違法であるとして上告した。
あてはめ
本件において、原審は訴訟が裁判をなすに熟したと判断して弁論を終結させており、これは裁判所の職権行使として適法である。また、上告人が申し出た弁論再開申請についても、これを採用するか否かは裁判所の裁量に属する。上告人が主張する新主張や新証拠の提出機会の喪失は、適法な弁論終結および裁量に基づく再開拒絶の結果に過ぎず、手続上の違法があるとは認められない。
結論
弁論の終結および再開の拒絶は裁判所の裁量に属する事項であり、本件原審の措置に違法はない。上告棄却。
実務上の射程
事件番号: 昭和32(オ)488 / 裁判年月日: 昭和34年3月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁論の再開の是非は裁判所の職権に属する事項であり、裁判所の合理的な裁量によって決定される。 第1 事案の概要:上告人は、被上告人が建物の建築を開始する以前から係争地を占有していたと主張したが、原審はこれを認めなかった。上告人は、本人再尋問の却下や、結了した口頭弁論を再開しなかった原審の判断には違法…
実務上、弁論の終結・再開に関する裁判所の広範な裁量を認めた判例として位置づけられる。答案作成においては、適時提出主義(民訴法157条)や裁判所の訴訟指揮権の文脈で、当事者の手続保障と訴訟経済の均衡を論じる際の論拠として使用する。
事件番号: 昭和37(オ)744 / 裁判年月日: 昭和38年4月9日 / 結論: 棄却
弁論の再開を命ずる否とは裁判所の専権事項であり、第一審判決がいわゆる欠席判決である 場合にも、結論を異にすべきものではない。
事件番号: 昭和34(オ)370 / 裁判年月日: 昭和35年11月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁論の再開は裁判所の職権に属する事項であり、裁判所が再開を命じなかったとしても直ちに違法とはならない。また、陳述されていない準備書面の記載内容について裁判所が釈明権を行使する義務はない。 第1 事案の概要:上告人は原審において準備書面を提出していたが、記録上、当該準備書面が口頭弁論で陳述された事実…
事件番号: 昭和37(オ)328 / 裁判年月日: 昭和38年8月30日 / 結論: 棄却
一 裁判所が当事者の弁論再開の申請を採用しなかつたため、新たな証拠の提出ができなかつたとしても、証拠提出を不当に制限したことにはならない(昭和二三年(オ)第七号、同年四月一七日第二小法廷判決、民集二巻四号一〇四頁参照)。 二 公務員の職務執行に基づく損害については、国家または公共団体がその責任を負い、当該公務員は被害者…