不動産登記法第二条第一号によつて仮登記をなすべき場合に、同条第二号の仮登記を申請し、該申請が受理されてすでに第二号の仮登記がなされた以上、これを無効と解すべきでなく、順位保全の効力を有するものと解すべきである。
不動産登記法第二条第一号によつて仮登記をなすべき場合に同条第二号によつてなされた仮登記の効力
不動産登記法2条
判旨
不動産登記法上の1号仮登記(物権変動が既発生)をすべき場合に2号仮登記(請求権保全)がなされたとしても、双方とも本登記の順位保全を目的とする点で共通するため、当該登記を無効とせず順位保全の効力を認めるべきである。
問題の所在(論点)
本来であれば物権変動が既になされたとして1号仮登記をすべき場合に、誤って請求権保全のための2号仮登記がなされた場合、当該登記に順位保全の効力が認められるか。
規範
不動産登記法上の仮登記(旧不動産登記法2条1号・2号、現行法105条1号・2号に対応)は、いずれも後日なされる本登記の順位を保全することを目的とするものである。したがって、本来1号仮登記によるべき事案において、誤って2号仮登記の申請がなされ、これが受理された場合であっても、当該登記は無効とはならず、順位保全の効力を有する。
重要事実
本件では、不動産に関する権利関係について、本来であれば実体上の物権変動が既に生じているとして旧不動産登記法2条1号に基づく仮登記(物権変動の仮登記)をすべき状況であった。しかし、実際には同条2号に基づく仮登記(請求権保全の仮登記)が申請され、登記所に受理されて登記が実行された。上告人は、この種類の誤りを理由に当該仮登記の効力を争った。
事件番号: 昭和47(オ)620 / 裁判年月日: 昭和49年12月24日 / 結論: 棄却
金銭債権の担保のため債務者所有の不動産に所有権移転請求権保全の仮登記をするのに代えて、他の債権者の債権担保のため所有権移転請求権保全の仮登記が被担保債権の消滅にもかかわらず残存しているのを利用して新債権者への右請求権移転の附記登記をした場合、附記登記後に右不動産につき利害関係を有するにいたつた第三者は、特別の事情のない…
あてはめ
仮登記制度の本質は、後日の本登記のための「順位の確保」にある。1号仮登記と2号仮登記は、その前提となる実体関係の進展段階(既に物権変動が生じたか、将来の請求権に留まるか)において区別されるものの、本登記の順位をあらかじめ確保するという目的において実質的な差異はない。したがって、実体上は1号仮登記の要件を充足している場合に2号仮登記がなされたとしても、その公示による順位保全の必要性に変わりはなく、これを無効として順位保全を否定する理由はないといえる。
結論
1号仮登記によるべき場合に2号仮登記がなされたとしても、その登記は有効であり、順位保全の効力を有する。
実務上の射程
仮登記の種類(1号・2号)の誤認は登記の効力を左右しないという原則を示すものである。答案上は、登記の有効性や対抗力の順位が問題となる場面で、実体と登記形式の軽微な不一致(仮登記の種類の取り違え)が登記の有効性に影響しないことを論証する際に活用できる。現行法下(105条1号・2号)でも同様の法理が妥当する。
事件番号: 昭和41(オ)649 / 裁判年月日: 昭和44年3月4日 / 結論: 棄却
甲所有の不動産を乙が買い受け代金を完済してその所有権を取得したが、丙の依頼により、乙は、丙に信用を与えるため右不動産について登記簿上の名義を丙名義とすることを承諾し、右不動産について甲より直接丙あてに所有権移転登記がされ、さらに、丙より乙に対して代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権保全仮登記が経由された場合には、右…
事件番号: 昭和42(オ)427 / 裁判年月日: 昭和42年12月19日 / 結論: 棄却
仮登記原因の疎明の有無は、仮登記仮処分命令の効力に消長をきたすものではない。
事件番号: 昭和41(オ)749 / 裁判年月日: 昭和42年1月19日 / 結論: 棄却
所有権移転請求権保全の仮登記の原因表示と実質上の権利関係との間に若干の相違があつても、当該仮登記は、特定不動産の所有権移転請求権を保全するための仮登記として同一性を害しないかぎり、有効である。
事件番号: 昭和41(オ)1012 / 裁判年月日: 昭和44年2月27日 / 結論: 棄却
不動産の譲受人を債権者とし譲渡人を債務者として右不動産について処分禁止の仮処分登記が経由され、その後第三者に対する所有権移転登記が経由された場合において、仮処分債権者たる譲受人より譲渡人に対する本案訴訟としての所有権移転登記手続請求の訴と右第三者に対する所有権取得登記の抹消登記手続請求の訴とが併合して審理され、仮処分債…