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商品の混同行為により営業上の信用が害されたものと認められた事例
1ノ22
判旨
不正競争防止法に基づき謝罪広告を命ずるためには営業上の信用の侵害が必要であるが、商品混同行為によって取引先が品質や販売方法に欠陥があると誤解し、販路が奪われた事実があれば、商品の品質を比較するまでもなく信用の侵害を認めることができる。
問題の所在(論点)
不正競争防止法に基づく謝罪広告の要件である「営業上の信用の侵害」を認めるために、加害者の商品が被害者の商品よりも品質において劣っていること(粗悪品であること)を証明する必要があるか。
規範
不正競争防止法(旧法1条の2第2項、現行法14条参照)に基づき、裁判所が不正競争行為者に対して名誉回復措置(謝罪広告等)を命ずるためには、当該行為によって被害者の「営業上の信用」が害されたことが必要である。この「営業上の信用」の侵害は、必ずしも加害者の商品が被害者のものより粗悪であることを要せず、取引上の誤解や販路の喪失といった客観的事実から認定し得る。
重要事実
被上告人(原告)が販売する人工甘味料「天化糖」は、品評会での受賞や業界紙での推奨により高い評価を得て、全国的な販路を確保していた。しかし、上告人(被告)らによる商品混同行為が開始された結果、被上告人は製品の品質維持や販売方法に欠陥があるかのような誤解を取引先から受け、確保していた販路を奪われ、販売量が減少するに至った。上告人らは、謝罪広告が認められるためには「自らの商品がより粗悪であること」が必要であると主張して上告した。
あてはめ
被上告人の製品は広範囲に販路を拡大し、業界での信頼を確立していた。これに対し、上告人らの商品混同行為によって、取引先において被上告人の製品品質や販売体制に疑念が生じ、実際に既存の販路を奪われたという事実は、被上告人の営業上の社会的評価を低下させるものである。このような状況下では、両者の商品の品質を具体的に比較して上告人らの製品が粗悪であることを立証するまでもなく、被上告人の営業上の信用が害されたと認めるのが相当である。
結論
商品の品質比較を待たずとも、混同行為により取引先の誤解を招き販路を失った事実は営業上の信用の侵害に該当するため、謝罪広告の請求は認められる。
実務上の射程
本判決は、不競法上の名誉回復措置における「信用毀損」の立証の程度を示したものである。答案上では、粗悪品による信用低下だけでなく、混同によって「販売体制への不信感」や「販路の喪失」が生じた場合でも、広く信用の侵害を肯定できる根拠として活用できる。
事件番号: 昭和39(オ)1203 / 裁判年月日: 昭和42年4月11日 / 結論: 棄却
一 不正競争防止法第一条による行為の差止請求をするには、当該行為につき不正競争の目的または不正の目的があることを要しない。 二 不正競争防止法第一条による行為の差止請求として、特定商号の変更登記手続の請求等判示の請求をすることができる。
事件番号: 昭和43(オ)260 / 裁判年月日: 昭和43年12月24日 / 結論: 破棄差戻
会社を被申請人とする仮処分命令が、同会社に対しては被保全権利が存在しないとして取り消された場合においても、右会社の取締役が会社の営業と競合する事業を個人として営んでいたため、仮処分申請人が被申請人を右取締役個人とすべきであるにもかかわらず、これを右会社と誤認した等判示の事実関係のもとにおいては、右仮処分命令を取り消す判…