一 訴訟代理人たる弁護士の他の受任事件の都合による第一回口頭弁論期日の変更申請は、当事者の出頭しがたい顕著な事由に基づくものとは認めがたく、これを許容しなくても違法とすることはできない。 二 公職選挙法第二五一条の二の規定は、憲法第一二条および第一三条に違反しない。
一 訴訟代理人の他の受任事件の都合による第一回口頭弁論期日変更申請拒否の適否。 二 公職選挙法第二五一条の二の規定は憲法第一二条および第一三条に違反するか。
民訴法152条,民訴規則14条,公職選挙法251条の2,憲法12条,憲法13条
判旨
公職選挙法の連座制に基づき口頭弁論期日が指定された場合において、代理人の他事件の都合のみを理由とする期日変更申請を却下し結審することは、迅速処理の要請に鑑み適法である。また、出納責任者の選挙犯罪による処罰を当選無効原因とする連座制は、選挙の公明適正を確保する目的から憲法13条等に違反しない。
問題の所在(論点)
1. 代理人の他事件の都合を理由とする期日変更申請を却下し、証拠提出の機会を与えずに結審したことは、審理不尽または公職選挙法(防御権の保障)に反するか。 2. 出納責任者の選挙犯罪による当選無効を定める連座制は、憲法13条(幸福追求権等)や12条に違反するか。
規範
口頭弁論期日の変更は、当事者に出頭しがたい顕著な事由(やむを得ない事由)の疎明がある場合に認められる。選挙訴訟においては、迅速な処理を要請する公職選挙法の趣旨に鑑み、正当な理由のない期日変更は許容されない。また、連座制は選挙の公明適正な施行を確保するための効果的な制度であり、公共の福祉による合理的制限として憲法に適合する。
重要事実
上告人は公職選挙法251条の2第1項2号に基づく連座訴訟を提起された。第一審(原審)の第一回口頭弁論期日において、上告人の訴訟代理人は「他の受任事件の都合」を理由に期日の変更を申請したが、裁判所はこれを認めず、上告人側の立証機会を与えないまま被上告人の証拠のみに基づき結審し、上告人敗訴の判決を言い渡した。上告人は、これが防御の機会を奪うものであり審理不尽であること、及び連座制自体が憲法12条・13条に違反することを主張して上告した。
あてはめ
1. 期日変更の申請について、上告人の代理人は単に他の受任事件の都合を述べるのみで、本件の期日指定より後に他事件が指定された等の「やむを得ない事由」を全く疎明していない。したがって、当事者の出頭が困難な顕著な事由があるとは認められず、裁判所が変更を認めなかったことは適法である。迅速処理を要請する同法213条の趣旨に照らせば、結果として防御の機会を逸しても止むを得ない。 2. 連座制について、選挙の公明適正な施行の確保という目的は正当であり、その手段として出納責任者の犯罪を当選無効とすることは効果的かつ合理的である。したがって、憲法13条に違反せず、また自由・権利に義務と責任を伴うとする憲法12条の趣旨にも反しない。
結論
1. 期日変更を認めず結審した原審の措置に審理不尽の違法はない。 2. 連座制の規定は憲法12条・13条に違反せず合憲である。 上告棄却。
実務上の射程
選挙訴訟における迅速処理の原則(公選法213条)を重視し、安易な期日変更による審理の遅延を否定する指針となる。また、連座制の合憲性を再確認した大法廷判決を踏襲するものである。民事訴訟法上の期日変更の要件(「顕著な事由」)の厳格な運用例として参照できる。
事件番号: 昭和39(行ツ)59 / 裁判年月日: 昭和39年9月25日 / 結論: 棄却
公職選挙法第二五一条の二の規定は、憲法第一三条及び第一五条第一項、第三項に違反しない。
事件番号: 昭和44(行ツ)43 / 裁判年月日: 昭和44年8月29日 / 結論: 棄却
出納責任者の選挙犯罪により、当選人について連座による当選無効の訴訟が提起された場合において、右出納責任者について復権があつても、そのことは、右訴訟の結果に影響を及ぼすものではない。
事件番号: 昭和39(行ツ)40 / 裁判年月日: 昭和40年1月19日 / 結論: 棄却
候補者の推薦届出者が、当該候補者のために出納責任者を選任届出するにあたり、事実、当該候補者が右選任を承諾していたときは、その届出に当該候補者の承諾を得たこと証すべき書面の添付を欠いたとしても、選挙管理委員会においてこれを受理した以上、その出納責任者の選任を有効と解すべきである。
事件番号: 昭和42(行ツ)16 / 裁判年月日: 昭和42年4月13日 / 結論: 棄却
一 出納責任者等の犯罪行為が当選に相当の影響を与えなかつたことが明らかな場合においても、公職選挙法第二五一条の二第一項によつて連座による当選無効を認めるのを妨げるものではない。 二 公職選挙法第二一一条の訴訟において、担当検察官の交替、変更あるいは二名以上の検察官の事件担当の事実があつたとしても、検察官としての原告の地…