候補者の推薦届出者が、当該候補者のために出納責任者を選任届出するにあたり、事実、当該候補者が右選任を承諾していたときは、その届出に当該候補者の承諾を得たこと証すべき書面の添付を欠いたとしても、選挙管理委員会においてこれを受理した以上、その出納責任者の選任を有効と解すべきである。
候補者の承諾を得たことを証すべき書面の添付を欠いた出納責任者選任届出の効力。
公職選挙法180条
判旨
出納責任者の選任届出に候補者の承諾を証する書面の添付を欠く場合であっても、候補者の承諾という実体がある以上、当該届出を受理した選挙管理委員会の処分に基づき選任は有効に成立する。
問題の所在(論点)
公選法180条4項所定の承諾証明書の添付を欠く選任届出に基づきなされた出納責任者の選任は、有効といえるか。添付書類の欠如が選任の効力に及ぼす影響が問題となる。
規範
公職選挙法180条4項が候補者の承諾を証する書面の添付を求めている趣旨は、候補者の意向を無視した選任を防止する点にある。したがって、同条が届出主義を採用しているとしても、事実として候補者の承諾が存在し、かつ届出が選挙管理委員会に受理されたのであれば、添付書類の欠如という形式的不備があっても選任の効力は妨げられない。
重要事実
推薦届出者EがDを上告人(候補者)の出納責任者として選任し、選挙管理委員会に届け出た。この際、公選法180条4項所定の「候補者の承諾を証すべき書面」の添付を欠いていたが、実際には上告人の承諾は存在していた。その後、Dの選挙犯罪に基づき上告人の当選無効等が争われた(連座訴訟)際、上告人は書面欠如を理由にDが出納責任者ではない(選任無効)と主張した。
事件番号: 昭和35(オ)1400 / 裁判年月日: 昭和36年3月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法(昭和30年法律第121号改正前)221条に基づき当選が無効とされる「出納責任者」とは、単に形式上の選任にとどまらず、実質的にもその職務を遂行する地位にある者を指す。 第1 事案の概要:上告人の選挙において、Gが法定の出納責任者として届け出られていたが、上告人は真実の出納責任者はFであり…
あてはめ
本件では、書面の添付こそ欠いているものの、実態として候補者である上告人の承諾があったことが証拠に基づき認められる。また、当該届出は選挙管理委員会によって受理されている。承諾証明書の添付は候補者の意向を保障する趣旨にすぎないため、承諾という実体がある以上、添付書類の欠欠は選任の効力を左右する致命的な瑕疵とはいえない。
結論
本件選任届出は有効であり、Dは出納責任者に該当する。したがって、これに基づく連座制の適用を前提とした原判決の判断に失当はない。
実務上の射程
行政上の届出における形式的要件(添付書類)の欠缺が、実体的事実(承諾)の存在によって治癒されるかという文脈で活用できる。特に、連座制の帰責根拠となる「出納責任者」の地位の厳格性を争う場面での反論として機能する。
事件番号: 昭和39(行ツ)42 / 裁判年月日: 昭和40年2月26日 / 結論: 棄却
一 訴訟代理人たる弁護士の他の受任事件の都合による第一回口頭弁論期日の変更申請は、当事者の出頭しがたい顕著な事由に基づくものとは認めがたく、これを許容しなくても違法とすることはできない。 二 公職選挙法第二五一条の二の規定は、憲法第一二条および第一三条に違反しない。
事件番号: 昭和39(行ツ)100 / 裁判年月日: 昭和40年2月18日 / 結論: 棄却
公職選挙法第二五一条の二に規定する「選挙運動を総括主宰した者」とは、実質上選挙運動の中心的存在として、選挙運動に関する事務全体を掌握し指揮する立場にあつた者を指称するものと解すべきである。