植木畑として設定管理されてきた土地が、現に肥培管理がおろそかにされていても、同地にはなお成長した鑑賞用樹木数十本が生立し、それは植木として販売に耐えないものではなく、土地所有者も依然植木畑として利用する意図を持続していると認められるものは、未墾地ではなく、農地と認めることができる。
現に肥培管理が行われていない植木畑を未墾地ではなく農地と認めた事例
自作農創設特別措置法2条,自作農創設特別措置法30条
判旨
農地法上の農地に該当するか否かは、単に現在の肥培管理の有無のみならず、土地の来歴、効用、及び原状回復の容易性等を総合的に考慮して判断すべきである。
問題の所在(論点)
農地法上の「農地」(耕作の目的に供される土地)の判定において、管理が不十分で荒廃しているように見える土地の農地性をいかに判断すべきか。
規範
ある土地が「農地」に該当するか否かは、客観的な現況によって判断されるべきであるが、その判定にあたっては、現在の肥培管理の状態のみにとらわれるのではなく、土地の来歴、現在の効用、所有者の主観的意図、及び少しく手を加えれば容易に原状を回復しうるかといった諸要素を総合的に考慮して決すべきである。
重要事実
被上告人の先代が植木畑として設定・管理していた土地について、戦中戦後の混乱や先代の死亡により一時的に管理が不十分となり、雑木林のような外観を呈していた。しかし、当該土地には依然として数十本の鑑賞用樹木が生立しており、それらは販売可能な状態であった。また、被上告人に転用の意図はなく、少しく手を加えれば容易に植木畑として原状回復が可能な状態であったが、買収計画において農地ではない(未墾地)と判断されるかが争点となった。
あてはめ
本件土地は、もともと植木畑として管理されてきた来歴があり、管理不十分の理由は戦災等の特殊事情によるものである。現在も生立する樹木は販売に耐えうる効用を有しており、所有者も他用途への転用意図はなく植木畑として保持する意思を有していた。さらに、多少の作業で容易に原状回復が可能であることから、管理が徹底されていないことをもって直ちに植木畑としての効用が失われたとはいえず、依然として農地性を保持していると評価される。
結論
本件土地は、買収計画樹立当時においても依然として農地法上の農地(植木畑)に該当する。
実務上の射程
農地該当性の判断において「現況主義」を維持しつつも、一時的な放置状態をもって直ちに農地性を否定せず、来歴や回復可能性を考慮する柔軟な判断枠組みを示したものである。司法試験においては、耕作放棄地の農地性判定や、農地法上の許可の要否が問題となる場面でのあてはめの指針として活用できる。
事件番号: 昭和28(オ)451 / 裁判年月日: 昭和34年1月29日 / 結論: 棄却
同一土地につき二個の買収計画が並存することは相当でなく、両計画をともに取り消した上で新たに買収計画を定むべきであるとの理由で、町農業委員会の定めた農地買収計画を取り消す旨の訴願裁決があつた場合、町農業委員会が右趣旨に従い右土地につき再度買収計画を定めることは、訴願法第一六条に違反するものではない。
事件番号: 昭和29(オ)550 / 裁判年月日: 昭和31年4月13日 / 結論: 棄却
昭和二四年法律第二一五号による農地調整法改正前においても、同法第四条によつて市町村農地委員会が行う農地等の所有権、賃借権等の設定、移転等の承認は同委員会の自由な裁量に委せられていたものと解すべきでない。