判旨
自作農創設特別措置法40条の2第4項5号の「牧野」に該当するか否かは、所有者の主観的意図のみならず、行政庁の認可を受けた施業案等の客観的事実や土地の物理的状況(林業適地性)を総合して判断すべきである。
問題の所在(論点)
自作農創設特別措置法40条の2第4項5号所定の「牧野」の認定において、土地所有者の主観的意図と土地の客観的状況のいずれを基準にすべきか。買収対象となる「牧野」の意義が問題となった。
規範
ある土地が「牧野」に該当するか、あるいは植林の目的に供される土地(林業地)に該当するかは、所有者の主観的な意図のみならず、造林経営の意図が外部から客観的に認識できる事実(行政庁の認可等)や、当該土地の地形・土性・植生等の客観的な状況に基づき、総合的に判断する。
重要事実
本件土地は、買収計画当時に未だ植林は実施されていなかった。しかし、所有者は北海道庁長官の認可を受けた施業案に基づき、約220町歩にわたるカラマツの新植および手入れ、除伐等の計画を有し、造林経営の意図が明示されていた。また、土地の地形、土性、地床、植生等は、カラマツ等の人工造林が行われている隣接地に近似しており、林業適地としての性質を有していた。
あてはめ
本件では、認可された施業案という客観的事実により造林経営の意図が明示されている。加えて、土地の物理的属性(地形や土性等)が隣接する人工造林地と近似しており、客観的に見て林業適地と認められる。したがって、本件土地は植林の目的に主として供される土地といえ、農業利用を前提とする「牧野」には該当しないと評価される。
結論
本件土地は自作農創設特別措置法40条の2第4項5号の「牧野」に該当しない。
実務上の射程
行政法における「目的」や「用途」の認定基準として、主観的意図を排除するものではないが、それを裏付ける客観的資料(計画書・認可)や物理的現況との整合性を重視する判断枠組みとして、事実認定の場面で活用できる。
事件番号: 昭和31(オ)853 / 裁判年月日: 昭和33年4月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地買収において対象地が牧野に該当するかは、土地の現況が採草等の用に供されているかにより判断され、また、買収範囲の特定は測量図面等の添付により客観的に可能であれば有効である。 第1 事案の概要:本件は、行政庁による土地の買収処分に対し、上告人がその無効を主張して争った事案である。上告人は、(1)対…
事件番号: 昭和31(オ)414 / 裁判年月日: 昭和35年4月8日 / 結論: 棄却
旧森林法による施業案を編成し主務庁の認可を受け戦時中のため実施に至らなかつたが、右施業案の実施上枢要な地位を占める土地であつて、これを失うことが施業案全体に重大な影響があり、施業案の目的完遂を困難らしめるような土地は(本判決および原判決参照)、採草の用に供されていても、これを自作農創設特別措置法にいう牧野に該当しないも…
事件番号: 昭和28(オ)323 / 裁判年月日: 昭和30年1月21日 / 結論: 棄却
大正一二、三年頃杉の伐採跡の伐根を除去し草を刈る等して開墾し全体に桐苗を植え数年間は肥料を施し、時々土を掘起してやわらかくする等昭和一七、八年頃までは引続き手入をし肥培管理をしたが、その後ほとんど手入をせず昭和二二年頃から再び下草を刈る等の手入をし、現在では目通リ直径七寸乃至一尺二寸位高さ七、八間位の桐の木が全区域にわ…