民訴法第四〇三条は憲法第三二条に違背しない。
民訴法第四〇三条は憲法第三二条に違背するか。
憲法32条,民訴法403条,民訴法394条
判旨
憲法32条は裁判を受ける権利を規定するが、裁判所の組織、権限、審級等の制度設計は法律に委ねられており、上告審を法律審とし、下級審が確定した事実に拘束されるとする民事訴訟法の規定は同条に違反しない。
問題の所在(論点)
上告審を法律審と定義し、上告裁判所が原判決の確定した事実に拘束されるとする民事訴訟法の仕組みは、憲法32条の保障する「裁判を受ける権利」を侵害し、違憲といえるか。
規範
憲法32条は、国民が裁判所において裁判を受ける権利を保障しているが、いかなる裁判所で裁判を受けるべきかという裁判所の組織、権限、審級等は、憲法81条を除き、原則として法律が諸般の事情を考慮して決定すべき事項である。
重要事実
上告人は、民事訴訟法403条(現行321条1項)が、原判決が適法に確定した事実に上告裁判所が拘束されると規定していること、および同法409条ノ2第1項(上告受理の決定等に関する規定)が、憲法32条(裁判を受ける権利)や憲法29条(財産権)に違反すると主張して上告した。
事件番号: 昭和30(テ)14 / 裁判年月日: 昭和32年3月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法上、裁判所の裁判権(上告審の範囲等)に関する事項は、憲法81条の規定を除き、立法府の広範な裁量に委ねられた立法政策の問題である。したがって、仮処分に関する判決に対して通常の上告を認めない民事訴訟法の規定は、憲法32条等に違反しない。 第1 事案の概要:上告人は、仮処分に関する判決に対し通常の上…
あてはめ
憲法32条は裁判を受ける権利の存在を宣言するにとどまり、具体的な審理の範囲や上告理由の限定といった審級制度の詳細は立法政策に委ねられている。本件において、上告審を法律審に限定し、事実認定の不当を上告理由から除外する民事訴訟法の規定は、適正な裁判を実現するための合理的な制度設計の範囲内といえる。したがって、事実に拘束されることによる審理の制限は、憲法32条を逸脱するものとは認められない。
結論
上告審の事実拘束力を定める民事訴訟法の規定は、憲法32条に違反しない。
実務上の射程
司法試験において、上告審の性質(法律審)や審級制度の立法裁量を論じる際の基礎となる判例である。裁判を受ける権利が「制度的保障」の側面を持ち、具体的構成が立法府に広範に委ねられていることを示す文脈で使用できる。
事件番号: 昭和37(テ)12 / 裁判年月日: 昭和37年10月12日 / 結論: 棄却
民訴法第四〇九条ノ二第一項の規定は憲法第三二条・第一二条に違反しない。
事件番号: 昭和33(テ)7 / 裁判年月日: 昭和35年3月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法は、81条の規定を除き、審級制度を立法政策に委ねており、上告理由を制限する民訴法の規定は憲法32条に違反しない。また、判決原本への署名捺印が転補前になされていれば、判決手続きは適法である。 第1 事案の概要:上告人は、民事訴訟法393条3項(旧法)が憲法32条に違反すると主張した。また、原審の…
事件番号: 昭和57(テ)11 / 裁判年月日: 昭和57年5月27日 / 結論: 棄却
民訴法四〇九条ノ二の規定及び民訴規則五九条によつて特別上告事件の訴訟手続に準用される民訴規則四六条ないし四九条の規定は、憲法三二条に違反しない。