外国人の財産取得に関する政令による大臣の認可があるかあるいはその認可を要しなくなることを条件として非居住外国人が本邦内の土地を買い受けたものとの主張がありかつその事実があると認定された事例
判旨
行政庁の認可が契約の効力発生要件とされている場合において、当事者が認可の取得または認可不要となることを条件として契約を締結したと解されるときは、当該条件の成就(認可不要の告示等)により契約は当然に有効となる。このような解釈は、強行法規の潜脱を目的とするものでない限り、合理的な当事者の意思解釈として認められる。
問題の所在(論点)
主務大臣の認可を要する法律行為において、認可がない状態で行われた契約の効力をどう解すべきか。また、後の法令改正等により認可が不要となった場合に、契約を有効と認めることができるか。
規範
法令により権利取得に主務大臣の認可を要するとされている場合であっても、当事者の合理的な意思解釈として、当該認可が得られること、または将来的にその認可を要しなくなることを停止条件として契約を締結したと推認することが可能である。この場合、条件が成就した時点(認可の取得や法令改正による認可不要化)で、契約の効力は確定的に発生する。
重要事実
非居住大韓民国人である訴外D及びEは、昭和20年代に上告人から本件土地を買い受けた。当時、外国人の財産取得に関する政令により、主務大臣の認可がなければ土地の所有権を取得できないとされていた。その後、昭和27年の告示により大韓民国国籍者は同政令の適用外となり、認可が不要となった。上告人は、売買契約当時に認可がなかった以上契約は無効であり、後の告示により遡及的に有効になることはないと主張して、所有権移転の効力を争った。
あてはめ
D・Eらが土地を買い受けた際、認可が必要な制度下であった以上、特段の事情がない限り、当事者は「認可が得られるか、あるいは認可を要しなくなること」を条件として売買に合意したと解するのが相当である。本件では、昭和27年の告示により認可が不要となったことで、当該停止条件が成就したといえる。これは無効な契約を遡及的に有効化するものではなく、条件成就によりその時点から契約が有効に効力を生じたものと解される。したがって、弁論主義の範囲内における適切な事実認定及び意思解釈として、契約の有効性を認めることができる。
事件番号: 昭和30(オ)321 / 裁判年月日: 昭和32年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地の売買において、都道府県知事の許可を停止条件とする契約を締結することは農地法(旧農地調整法)に反せず、許可が得られた場合には、売主は地目変換の申告や登記手続等の契約上の義務を履行する責任を負う。 第1 事案の概要:買主(被上告人)は、農地を工場敷地として利用するため、売主(上告人)との間で本件…
結論
条件付売買契約として、認可不要となった告示の施行時以降、本件売買契約は有効に効力を生じる。したがって、上告人の主張は採用できず、上告は棄却される。
実務上の射程
行政上の規制により認可を要する契約において、認可前の合意を直ちに無効とせず、「認可を停止条件とする合意」と構成することで契約の有効性を維持する手法(条件付契約の構成)を認めた。司法試験においては、農地法の許可を停止条件とする売買予約や、公法上の制限がある取引における意思解釈の論理として活用できる。ただし、公序良俗違反や脱法目的がないことが前提となる。
事件番号: 昭和42(オ)429 / 裁判年月日: 昭和42年10月27日 / 結論: 棄却
農地を目的とする売買契約締結後に、売主が目的物上に土盛りをし、その上に建物が建築され、そのため農地が恒久的に宅地となつた等買主の責に帰すべからざる事情により農地でなくなつた場合には、右売買契約は、知事の許可なし完全に効力を生ずると解するのが相当である。
事件番号: 昭和30(オ)995 / 裁判年月日: 昭和33年6月5日 / 結論: 棄却
一 知事の許可を停止条件として締結された農地の売買契約は、無効ではない 二 土地の買主が約定の履行期後、売主に対し、しばしばその履行を求め、かつ売主において右土地の所有権移転登記手続をすれば、何時でも支払えるよう残代金の準備をしていたときは、民法第五五七条にいわゆる「契約の履行に著手」したものと認めるのが相当である
事件番号: 昭和39(オ)315 / 裁判年月日: 昭和39年10月30日 / 結論: 棄却
部分林収益分収持分の譲渡契約において営林局長の許可を停止条件とする旨の約定がなされていなくても、右許可により権利移転の効力を生ずる。
事件番号: 昭和44(オ)330 / 裁判年月日: 昭和44年8月29日 / 結論: 棄却
商人間の土地の売買において、当事者の意思表示により、一定の日時または一定の期間内に履行をなさなければ、契約をした目的を達することができないときは、その売買は確定期売買と解すべきである。