商人間の土地の売買において、当事者の意思表示により、一定の日時または一定の期間内に履行をなさなければ、契約をした目的を達することができないときは、その売買は確定期売買と解すべきである。
確定期売買と認められた事例
商法525条
判旨
商法525条に規定する確定期売買において、履行期を経過したときは、債務者の帰責事由や同時履行の抗弁権の有無にかかわらず、客観的事実により当然に解除されたものとみなされる。
問題の所在(論点)
商法525条の確定期売買における解除の擬制が成立するためには、債務者の帰責事由(履行遅滞の成立)が必要か、また同時履行の抗弁権の存在により解除が妨げられるか。
規範
商事確定期売買(商法525条)においては、当事者の一方が履行をしないで所定の時期を経過したときは、その不履行が債務者の責めに帰すべき事由に基づくか否か、すなわち履行遅滞の成否に関わらず、時期の経過という客観的事実によって契約は解除されたものとみなされる。したがって、同時履行の抗弁権が問題になる余地はない。
重要事実
土地転売を業とする商人BとDは、土地の売買契約を締結した。Bは特飲街建設という特殊事情から相場より安価で売却するため、代金支払期日(昭和30年3月10日)を厳守することに特別の関心を示し、Dもこれを了解して同日までの支払を約束した。しかし、Dは期日までに代金を支払わなかった。
事件番号: 昭和32(オ)495 / 裁判年月日: 昭和35年3月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】売買契約の解除を主張するにあたり、解除の意思表示が単なる事情の説明に留まらず、予備的な主張としてなされたといえるためには、文言上その趣旨が明らかでなければならない。また、催告を欠く解除の意思表示は、有効な解除としての効力を認められない。 第1 事案の概要:不動産の売買契約において、売主(上告人)が…
あてはめ
本件売買は、当事者の意思表示により一定の期間内に履行しなければ契約の目的を達し得ない確定期売買にあたる。この場合、期日の経過という客観的事実のみによって解除の効果が発生する。したがって、D側に履行遅滞の責任があるか否か、あるいはBの債務との同時履行の関係にあるかといった点は、解除の効力発生を左右しない。
結論
Dが履行期を徒過したことにより、本件売買契約は商法525条に基づき当然に解除されたものとみなされる。
実務上の射程
商人間売買における迅速な決済を保護する趣旨から、民法の解除(541条等)とは異なり、帰責事由や催告を不要とする「解除の擬制」の強力な効果を認めたものである。答案上は、確定期売買の該当性を認定した上で、同時履行の抗弁権の主張を排斥する論理として活用できる。
事件番号: 昭和35(オ)505 / 裁判年月日: 昭和36年6月22日 / 結論: 棄却
双務契約上の債務が同時履行の関係に立つ場合、右契約を解除しようとする当事者の債務の履行の提供は、催告に指定された履行期日にこれをすれば足りる。
事件番号: 昭和37(オ)1110 / 裁判年月日: 昭和38年3月28日 / 結論: 棄却
米国に移住のため在日財産処分の必要に迫られた者が渡米の日とにらみ合せて売買代金支払および登記手続履行の日時を定めて建物の売買契約をした場合でも、右期日までに代金支払がなされなければ相当の不便を感じることが推測されるだけで売買の目的を達しえない事情までは認められない以上、これを定期行為とみることはできない。
事件番号: 昭和33(オ)76 / 裁判年月日: 昭和35年5月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】売買契約において残代金の支払期日を徒過した際に「当然に契約解除となる」旨の約款が存在する場合であっても、特段の事情がない限り、直ちに無催告で解除の効果が発生するものではないと解するのが相当である。 第1 事案の概要:本件では、売買契約の当事者間で残代金の支払期日が定められ、当該期日を徒過した場合に…
事件番号: 昭和32(オ)315 / 裁判年月日: 昭和33年7月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】催告期間が不相当に短い場合であっても、催告の時から相当期間が経過した後に解除の意思表示がなされれば、解除の効果は有効に発生する。 第1 事案の概要:本件不動産の売買契約に関連し、債権者が債務者に対して履行を催告した。債務者はこの催告に応じなかった。その後、債権者は解除の意思表示を行った。債務者(上…