一 境界確定の訴は、当事者相互の相接する各所有地間の境界に争があるため、その境界を現地に即し具体的に定める創設的判決を求める訴である。 二 境界確定の訴にあつては、当事者相互の相接する各所有地間の境界が不明であるかまたはこれに争があることの主張がなされれば足り、原告において特定の境界線の存在を主張する必要はない。 三 境界確定訴訟の確定判決が一定地番の土地の所在位置を認定していることは、別件の境界確定訴訟の判決の認定判断を拘束しない。
一 境界確定の訴の性質 二 境界確定の訴において原告は特定の境界線の存在を主張する必要があるか 三 境界確定訴訟の確定判決が一定地番の土地の所在位置を認定していることは別件の境界確定訴訟の判決の認定判断を拘束するか
民訴法第2編第1章,民訴法186条
判旨
境界確定の訴えにおいて、裁判所は当事者の主張に拘束されず、諸般の事実に基づき適正な境界を画定できる。また、別訴の確定判決による事実認定は、本件における事実認定を拘束しない。
問題の所在(論点)
1. 境界確定の訴えにおいて、原告が境界線の主張を変更することや、認定された境界に一貫性がないことは許されるか。2. 別件の確定判決における事実認定は、後訴の事実認定を拘束するか。
規範
1. 境界確定の訴えは、隣接する土地の境界を具体的に定める創設的判決を求める訴えであり、当事者は特定の境界線を主張する必要はなく、主張を変更しても違法ではない。2. 裁判所は、証拠によって認定した諸般の事実(現地の特定、地形、林相の差異等)に基づき、一貫性の有無を問わず適正な境界を画定できる。3. 別件の確定判決における事実認定(土地の所在位置等)は、本件の事実認定を拘束するものではない。
重要事実
被上告人(原告)は、隣接する土地所有者である上告人(被告)に対し、境界確定の訴えを提起した。第一審および原審は、検証の結果、特定の地点における林相の差異や地形、証言等を総合して境界線を確定した。これに対し上告人は、①被上告人が境界線の主張を変更したこと、②原審が認定した境界線に地形上の一貫性がないこと、③別件の確定判決においてなされた関連土地の所在位置に関する認定と矛盾すること等を理由として上告した。
あてはめ
1. 境界確定の訴えは、公法的な性格を有する創設的判決を求めるものである。したがって、当事者の主張は裁判所を拘束せず、原告の主張変更や認定された境界の一貫性の欠如は違法事由とならない。2. 本件では、谷川の分岐、石場道の存在、南北の林相の差異といった具体的証拠に基づき境界が特定されており、その判断過程に合理性がある。3. 証拠裁判主義の下、別件判決の事実認定が当然に本件の認定を拘束することはない。特定の土地の所在位置という事実についても、自由心証に基づき独自に判断すべき事柄である。
結論
境界確定の訴えにおける原告の主張変更や、認定された境界の一貫性の欠如、あるいは別件確定判決の事実認定との不一致は、いずれも判決を覆すべき違法事由とはならない。
実務上の射程
境界確定の訴えの非訟事件的性格(処分権主義の修正)を確認する際の基本判例である。また、既判力の客観的範囲(主文のみに生じ、理由中の事実認定には生じない)という民事訴訟法の一般原則が、境界確定訴訟における土地の所在位置の認定にも妥当することを示す際にも活用できる。
事件番号: 昭和42(オ)105 / 裁判年月日: 昭和43年5月23日 / 結論: 棄却
相隣接する土地の境界が不明であるときは、右境界が主観的に不明であると客観的に不明であるとにかかわらず、右土地の所有者は、境界確定の訴を提起し、裁判所の判決を得て、右境界の不明に基因する紛争の解決を図ることができる。
事件番号: 昭和37(オ)490 / 裁判年月日: 昭和39年4月17日 / 結論: 棄却
境界確定の訴における請求は、不明な境界を確定することを求める点にあり、いずれの線が本来の境界であるかに関する当事者の主張は、ただ事実上の申述の一部にすぎない。