境界確定の訴における請求は、不明な境界を確定することを求める点にあり、いずれの線が本来の境界であるかに関する当事者の主張は、ただ事実上の申述の一部にすぎない。
境界確定の訴における請求の趣旨。
民訴法224条
判旨
境界確定の訴えにおける当事者の主張は事実上の申述にすぎず、裁判所は当事者の主張に拘束されずに境界を確定できる。
問題の所在(論点)
境界確定の訴えにおいて、裁判所は当事者が主張する境界線に拘束されるか。また、裁判所が採用しなかった当事者の主張に対し、判決理由において逐一判断を示す必要があるか。
規範
境界確定の訴えの目的は、公法上の概念である境界(筆界)の客観的所在を確定することにある。したがって、いずれの線が本来の境界であるかに関する当事者の主張は事実上の申述にすぎず、裁判所は当事者の主張する特定の線に拘束されることなく、証拠を総合して客観的な境界を確定すべきである。また、裁判所が確定した境界線と異なる主張の失当性について、逐一判断を示す必要はない。
重要事実
本件は、土地(a番地およびb番地)の境界について争いがある事案である。上告人は、境界確定の訴えにおいて自らが主張した境界線が採用されず、かつ裁判所が確定した境界線と自らの主張が異なることについて十分な判断が示されていないとして、手続の違法を主張して上告した。また、過去の植林状況や立木伐採の中止交渉に関する事実認定についても争いがあった。
あてはめ
境界確定の訴えは、私権の範囲を画する前提となる公法上の境界を確定する性質を有する。本件において、原審が諸般の証拠(土地の沿革、植林の経緯、過去の伐採交渉等の事実)を総合して特定の境界線を確定したことは、境界確定の訴えの性質に合致している。当事者が主張する境界線は裁判所を拘束するものではないため、原審が証拠に基づき客観的境界を確定した以上、上告人の主張が採用されない理由を個別に論駁しなくても、理由不備の違法はないと解される。
結論
境界確定の訴えにおける当事者の主張は裁判所を拘束しない。裁判所が証拠に基づき境界を確定した以上、当事者の主張に対する逐一の判断は不要であり、原判決に違法はない。
実務上の射程
形式的形成訴訟における処分権主義の修正を裏付ける判例である。答案上は、境界確定の訴えにおいて「裁判所は当事者の主張に拘束されない(主張より有利な確定も不利な確定も可能)」という法理を導く際に活用する。あわせて、理由不備(民訴法312条2項6号)の主張に対する反論としても機能する。
事件番号: 昭和32(オ)888 / 裁判年月日: 昭和33年6月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】境界確定の訴えにおいて、裁判所は当事者の主張する境界線のみに拘束されず、占有状態や従来の経過事情その他諸般の証拠資料に基づき、客観的な境界を確定すべきである。 第1 事案の概要:被上告人(一審原告)は、隣接する二地の境界につき、自己の所有建物の東南角及び東北角の各土台から東方に一尺離れた地点を結ん…