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基本たる口頭弁論に関与しない裁判官が判決に関与しているものとして民訴法第三九五条第一項第一号により破棄された事例。
判旨
判決の基礎となる口頭弁論に関与していない裁判官が判決に関与することは、法律に従って構成された裁判所による裁判とはいえず、違法である。このような判決は、民事訴訟法上の絶対的上告理由に該当し、破棄を免れない。
問題の所在(論点)
判決に関与する裁判官は、その基礎となる口頭弁論に立ち会っている必要があるか。また、口頭弁論に関与していない裁判官が判決に関与した場合、当該判決は法律に従い構成された裁判所によってなされたといえるか(民事訴訟法312条2項1号/旧394条1項1号・395条1項1号の解釈)。
規範
判決は、その基本となる口頭弁論に関与した裁判官がなさなければならない。これに反して口頭弁論に臨席しない裁判官が関与してなされた判決は、法律に従って構成された裁判所によってなされたものではなく、違法な裁判(民事訴訟法312条2項1号参照)となる。
重要事実
本件の原判決には、裁判長判事村松俊夫、判事杉山孝、判事山本一郎の3名が署名捺印していた。しかし、原審の最終口頭弁論期日の調書を確認したところ、実際に臨席していた裁判官は裁判長判事村松俊夫、判事伊藤顕信、判事山本一郎の3名であった。すなわち、判決に関与した判事杉山孝は、判決の基礎となる口頭弁論には臨席していなかった。
あてはめ
原判決に署名捺印した裁判官のうち、判事杉山孝は最終口頭弁論期日に臨席していない。一方で、口頭弁論に実際に臨席した判事伊藤顕信は判決に関与していない。したがって、本件原判決は「基本たる口頭弁論に臨席しない判事」が判決内容の決定に関与してなされたものと評価される。これは、直接主義および適正な裁判所の構成という民事訴訟の基本原則に反する事態であるといえる。
結論
原判決は、法律に従い構成された裁判所でない裁判所によってなされたものである。したがって、絶対的上告理由(民訴法312条2項1号)に該当するため、原判決を破棄し、差し戻すべきである。
実務上の射程
裁判所の構成に関する基本的な規律を示す。特に、交代後の裁判官による弁論の更新(民訴法249条2項)が行われないまま、従前の審理に基づいて判決を下した場合などに、本判旨が射程に及ぶ。答案上は、直接主義の要請から、判決に関与する裁判官と口頭弁論に関与した裁判官の同一性が厳格に求められることを論ずる際に活用できる。
事件番号: 昭和34(オ)264 / 裁判年月日: 昭和35年7月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者が自ら証拠調べの申し出を放棄した場合、裁判所が当該証人の尋問を行わずに審理を終結させることに違法はない。 第1 事案の概要:上告人は原審において証人尋問を申し立てていたが、原審の第四回口頭弁論期日において、自らその証人の申し出を放棄した。その後、裁判所は当該証人の尋問を行うことなく結審し、判…