判旨
当事者が自ら証拠調べの申し出を放棄した場合、裁判所が当該証人の尋問を行わずに審理を終結させることに違法はない。
問題の所在(論点)
当事者が一度申し立てた証拠を自ら放棄した場合、裁判所がその証拠調べを行わずに結審することが適法か。
規範
当事者が申し出た証拠につき、後に自らその取り調べを要しないものとして放棄(撤回)した場合、裁判所はその意思に反してまで当該証拠を取り調べる義務を負わず、そのまま結審したとしても手続上の違法は存しない。
重要事実
上告人は原審において証人尋問を申し立てていたが、原審の第四回口頭弁論期日において、自らその証人の申し出を放棄した。その後、裁判所は当該証人の尋問を行うことなく結審し、判決を言い渡した。これに対し上告人は、証人尋問を行わなかったことが違法であるとして上告した。
あてはめ
記録によれば、上告人は原審の口頭弁論期日において問題となっている証人の申し出を自ら放棄している。自律的な訴訟活動の結果として証拠調べを不要とした以上、裁判所が証人尋問を実施しなかったことに何ら手続的な不備はない。したがって、当該証人の尋問を経ずに結審した原審の処置に違法は認められない。
結論
本件上告は棄却される。自ら放棄した証拠の不採用を理由とする上告は認められない。
実務上の射程
証拠調べの申し出の撤回(放棄)という訴訟行為の効力とその後の手続の正当性を確認するものである。答案上は、弁論主義に基づく当事者の証拠提出・撤回の自由と、裁判所の職権証拠調べの例外性を論じる際、自白や放棄といった当事者の意思表示を尊重すべき文脈で活用できる。
事件番号: 昭和35(オ)783 / 裁判年月日: 昭和36年9月29日 / 結論: 棄却
自白の取消について、相手方が異議を述べず、且つ自白にかかる事実が事実に反すると認められる場合には、右自白の取消はその効力を有する。