判旨
裁判所が一度証拠として採用した証人であっても、適法な呼出しを受けながら正当な理由なく出頭しない場合には、裁判所は当該証拠決定を取り消すことができる。
問題の所在(論点)
裁判所が一旦採用した証人の証拠決定について、証人の不出頭を理由に取り消すことが許されるか。また、原審で主張していない事実を上告理由として主張できるか。
規範
裁判所は、採用した証拠の取り調べが不能であるか、あるいは著しい遅延を招くことが明らかな場合には、職権により証拠決定を取り消すことができる。特に、証人が適法な呼出しに応じず、不出頭を繰り返す状況下では、訴訟促進の観点から証拠決定を取り消す措置は適法である。
重要事実
控訴人(上告人)は、証人Dの尋問を申し立て、原審はこれを採用して簡易裁判所に尋問を嘱託した。しかし、証人Dは三度にわたる証拠調べ期日に、適法な呼出しを受けながら正当な事由なく出頭しなかった。そのため、原審は証拠決定を取り消した。また、上告人は保証契約の態様について独自の主張をしたが、原審ではそのような主張・立証はなされていなかった。
あてはめ
本件証人は、昭和30年7月から12月までの間に3回設定された証拠調べ期日において、いずれも適法な呼出しを受けながら出頭しなかった。このように証人が正当な理由なく出頭を拒絶し、尋問の実施が困難な状況においては、裁判所が「やむなく」証拠決定を取り消した措置に違法はない。また、保証契約の内容に関する上告人の主張は、原審での主張・立証に基づかない新たな事実主張であり、上告理由として認められない。
結論
原審が証拠決定を取り消した措置は適法であり、上告を棄却する。
実務上の射程
証拠調べの不実施(民訴法181条)に関する判例。実務上、証人の呼出しが奏功しない場合、裁判所は訴訟の遅延を避けるために証拠決定を取り消すことができる。答案上は、証拠調べの必要性と訴訟経済・迅速な裁判との比較衡量の文脈で、裁判所の裁量権の行使として言及する。
事件番号: 昭和35(オ)916 / 裁判年月日: 昭和36年6月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠調べに要する費用の予納がないことを理由に証拠決定を取り消すことは適法であり、当該証拠が唯一の証拠でない限り、証拠不取調の違法は生じない。 第1 事案の概要:上告人(被告・控訴人)は、弁済の抗弁を立証するため、原審において証人Dおよび控訴人本人の尋問を申請し、一旦は採用された。しかし、呼出に要す…