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控訴期間不遵守の点を看過して控訴棄却の本案判決がなされたため、上告審において破棄自判(控訴却下)した事例。
判旨
不適法な控訴を看過して本案判決をした原判決に対し上告がなされた場合、上告裁判所は職権で原判決を破棄し、自ら控訴を却下すべきである。
問題の所在(論点)
控訴期間経過後に提起された不適法な控訴を看過して、原審が本案判決(控訴棄却)を下した場合における、上告審の措置(民事訴訟法第285条等の解釈)。
規範
控訴は、判決書等の送達を受けた日から2週間の不変期間内に提起しなければならない(民事訴訟法285条)。期間経過後に提起された控訴は不適法であり、裁判所はこれを却下しなければならない。控訴期間の遵守は訴訟要件であり、裁判所は職権でこれを調査する義務を負う。控訴を不適法として却下すべき事由があるにもかかわらず、これを看過して本案判決を下した原判決は、法令に違反するものとして破棄を免れない。
重要事実
第一審判決が昭和37年5月1日に言い渡され、判決正本が同月4日に上告人の訴訟復代理人に送達された。これに対し、上告人の訴訟代理人が控訴を申し立てたのは、送達日から2週間が経過した後の同年5月19日であった。また、控訴期間の徒過について、追完を認めるべき特段の事情(責めに帰することができない事由等)を示す資料も存在しなかった。しかし、原審は控訴の不適法を看過し、控訴棄却の本案判決を下した。
あてはめ
本件における控訴申立期間は、判決正本の送達日(5月4日)から起算して5月18日までであった。しかし、実際の控訴申立は5月19日に行われており、客観的に期間を徒過している。本案の審理を行う前提となる訴訟要件(期間の遵守)を欠いている以上、原審は控訴を不適法として却下すべきであった。それにもかかわらず原審が本案判決を下したことは、訴訟手続の前提を誤った失当な判断であるといえる。したがって、上告裁判所は職権により、不適法な状態を是正するために原判決を破棄すべきである。
結論
原判決を破棄する。上告人の控訴は期間徒過により不適法であるため、これを却下する。
実務上の射程
訴訟要件の欠陥(特に期間徒過)を看過して本案判決がなされた場合、上告審が自律的に是正を行うべきことを示す典型例。答案上では、一審の管轄違いや控訴権の放棄などの不適法事由があるにもかかわらず本案審理に進んでしまった事例において、職権調査事項の重要性と上告審での処理を論じる際の論拠となる。
事件番号: 昭和39(オ)484 / 裁判年月日: 昭和39年11月6日 / 結論: 棄却
郵送遅延は、当時の事情に照らし当事者の予想し得ない程度のものでなければ、不変期間不遵守の原状回復理由とならない。