判旨
当事者に対する適法な期日の呼出しを欠いたまま、その欠席により口頭弁論を遂行し、弁論を終結して判決を言い渡すことは、訴訟手続上の重大な違法にあたる。適正手続の観点から、当事者が主張・立証を行う機会を奪った判決は破棄を免れない。
問題の所在(論点)
当事者(上告人)に対する適法な期日の呼出しを欠いたまま弁論を進行・終結させ、判決を言い渡した原審の手続は、訴訟手続の法令違反に該当するか。
規範
民事訴訟法上、口頭弁論の期日においては、裁判所は両当事者に対し適法な呼出しを行わなければならない。当事者の手続的保障の観点から、適法な呼出しを欠いたまま当該当事者不在の状態で弁論を進行させ、終結させることは、当事者の攻撃防御の機会を不当に奪うものであり、判決手続における重大な違法となる。
重要事実
控訴審において、第一回口頭弁論期日(昭和26年3月19日)および次回期日(同年4月2日)について、上告人(控訴人)に対する適法な期日の呼出しがなされなかった。しかし、原審(福岡高裁)は、この第一回口頭弁論期日に上告人が欠席したまま口頭弁論を遂行し、即日弁論を終結した。その上で、次回期日に上告人敗訴の判決を言い渡した。
あてはめ
本件では、原審の第一回および第二回の口頭弁論期日に関し、上告人に対する適法な呼出しがなされていないことが認められる。それにもかかわらず、原審は上告人の欠席を看過し、弁論の機会を与えないまま弁論を終結させて敗訴判決を言い渡している。これは、当事者に訴訟手続への参与権を保障した民事訴訟法の根幹に抵触する手続上の違法といえる。
結論
適法な期日の呼出しを欠いたまま弁論を進行した原審の訴訟手続には違法があるため、原判決を破棄し、本件を原審に差し戻す。
実務上の射程
送達の不備や期日呼出しの欠缺が判決に及ぼす影響を示す基本的な判例である。答案上は、手続的保障(適正手続)の侵害や、絶対的上告理由(民訴法306条、312条2項各号の類推)に関する議論において、防御機会を奪った重大な手続違法の例として援用できる。
事件番号: 昭和27(オ)976 / 裁判年月日: 昭和29年11月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】統制違反による売買の無効を主張するには、具体的な違反事実の主張立証が必要であり、また弁論期日に不出頭の当事者に対しても告知された判決言渡期日は有効である。 第1 事案の概要:化学製品の売買代金請求訴訟において、被告(上告人)は、本件商品が統制物資であることを理由に、売買取引から適法に代金債権は発生…