判旨
続行期日の変更申請の許否および口頭弁論の再開は裁判所の職権に属し、当事者の不出頭が責めに帰すべからざる事由に基づくものと認められない限り、申請を却下して審理を進めることは違法ではない。
問題の所在(論点)
裁判所に対する期日変更申請(民訴法93条3項)および弁論の再開申請(同153条)につき、裁判所の裁量権の範囲と、申請却下および不出頭のままの審理・判決が許される要件が問題となる。
規範
1. 続行期日の変更申請の許否は裁判所の職権に委ねられており、申請の理由となった事由(疾病等)が当事者の責めに帰すべからざるものと認められない限り、裁判所がこれを容れず、不出頭のまま審理・判決することは適法である。2. 一旦結了した弁論を再開するか否かは専ら裁判所の職権に属し、再開申請に対して個別に許否の決定をなす義務はない。
重要事実
控訴人である上告人は、第一回口頭弁論期日に出頭せず、指定された次回続行期日についても、病気療養等を理由として期日変更の申請を行った。しかし、原審(控訴審)は当該申請を却下し、上告人不在のまま弁論を終結させ、判決を言い渡した。上告人は、期日変更を認めず弁論の機会を与えなかった点、および弁論再開の申請に対する決定がなされなかった点の違法を主張して上告した。
あてはめ
1. 期日変更について、上告人が提出した診断書には、病状の起点や代理人選任の余裕の有無等の記載がなく、不出頭が上告人の責めに帰すべからざる事由に基づくものとは認められない。したがって、裁判所が職権に基づき申請を却下したことに裁量権の逸脱はない。2. 弁論再開について、再開の成否は裁判所の専権事項であり、申請により新たな証拠や抗弁を提出する機会を失ったとしても、それは不当な制限には当たらない。
結論
期日変更や弁論再開の申請を却下し、当事者の不出頭のまま審理を終結して判決を言い渡した原審の判断は適法である。
実務上の射程
当事者が病気等を理由に期日変更を申し立てた場合でも、それが「顕著な事由」に該当し、かつ自己の責めに帰すべきでないことが客観的に証明されない限り、裁判所は審理を強行できるとする。答案上は、裁判所の訴訟指揮権・裁量を広く認める文脈で使用するが、真にやむを得ない事情がある場合には手続保障の観点から裁量逸脱となり得る点に留意が必要である。
事件番号: 昭和32(オ)830 / 裁判年月日: 昭和35年3月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者の疾病や代理人の辞任を理由とする期日変更の申立てについて、疾病が真に出頭不能な程度であることを推知させる資料がなく、かつ期日までに対処可能な時間的猶予がある場合には、裁判所が申立てを却下して不出頭のまま結審しても適法である。 第1 事案の概要:上告人の訴訟代理人は、指定された口頭弁論期日の2…