判旨
当事者の疾病や代理人の辞任を理由とする期日変更の申立てについて、疾病が真に出頭不能な程度であることを推知させる資料がなく、かつ期日までに対処可能な時間的猶予がある場合には、裁判所が申立てを却下して不出頭のまま結審しても適法である。
問題の所在(論点)
当事者が疾病を理由に期日変更を申し立てたが、裁判所がこれを認めず不出頭のまま結審することが、審理を尽くさない違法な手続(訴訟権利の侵害)にあたるか。
規範
裁判所は、期日の変更について相当な理由があると認めるときは、職権又は当事者の申立てにより、期日の変更をすることができる(民事訴訟法93条3項参照)。「相当な理由」の有無は、申立てに至る経緯、期日までに対処可能な期間の有無、及び主張される事由(疾病等)が真に出頭を困難にする程度のものであるか否かといった諸般の事情を総合して判断される。
重要事実
上告人の訴訟代理人は、指定された口頭弁論期日の24日前に辞任した。上告人は、腰部神経痛との診断書を添付して期日変更を申し立てたが、当該診断書には病名のみが記載されており、出頭不能の程度を示す具体的な記載はなかった。原審は期日変更を認めず、上告人不出頭のまま弁論を終結し、判決を言い渡した。
あてはめ
まず、代理人の辞任から期日まで24日の猶予があった。この期間は、当事者が新たな代理人を選任するなど、期日に対処する方策を講じるのに十分な期間であったといえる。次に、提出された診断書には「腰部神経痛」という病名の記載があるのみで、その症状が真に出頭を不能ならしめる程度であったかを推知させる資料は存在しない。したがって、期日の変更を認めないことに合理性があり、手続上の違法は認められない。
結論
期日変更申立てを容れず、不出頭のまま弁論を終結した原審の措置は適法である。
実務上の射程
裁判所の期日指定に関する広範な裁量を認める判旨である。実務上、疾病を理由とする変更申立てには、単なる診断書だけでなく「出頭不能」であることの疎明が必要であり、かつ代理人辞任等の場合でも準備期間が十分あれば変更は認められにくいという基準を示している。
事件番号: 昭和31(オ)656 / 裁判年月日: 昭和32年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】続行期日の変更申請の許否および口頭弁論の再開は裁判所の職権に属し、当事者の不出頭が責めに帰すべからざる事由に基づくものと認められない限り、申請を却下して審理を進めることは違法ではない。 第1 事案の概要:控訴人である上告人は、第一回口頭弁論期日に出頭せず、指定された次回続行期日についても、病気療養…