会社代表者が欠くことのできない会社業務のため口頭弁論期日に出頭できないことは、期日変更申請を許すべき顕著な事由に当らない。
口頭弁論期日変更申請を許すべき顕著な事由に当らないとされた事例
民訴法153条5項
判旨
会社代表者の業務上の出張は、民事訴訟法(旧法)152条5項にいう期日変更を許すべき「顕著な事由」には該当しない。したがって、相手方の同意がない限り、裁判所が期日変更を認めず弁論を終結したとしても審理不尽の違法はない。
問題の所在(論点)
会社代表者が業務上の出張を理由に行う期日変更の申請が、民事訴訟法上の「顕著な事由」に該当するか。また、これを認めずになされた弁論終結が審理不尽の違法を構成するか。
規範
期日の変更が認められるためには、「顕著な事由」が存在することを要する。特に当事者が申し立てる場合、相手方の同意がない限り、客観的に見て期日の変更を正当化するに足りる高度の必要性が認められなければならない。
重要事実
控訴人(上告人)である会社の代表者が、第一回口頭弁論期日の当日に「欠くべからざる会社業務で大阪市に出張することになっている」との理由で期日変更を申請した。しかし、被控訴人(被上告人)はこの変更に同意しなかった。原審は期日変更を許さず、申請を無視して弁論を終結し、さらに控訴人が申し立てた弁論再開申請も却下して判決を言い渡した。
あてはめ
本件で主張された「会社業務のための出張」という理由は、私的な業務の都合に過ぎず、裁判手続を停滞させてまで優先されるべき客観的・不可避的な事情とはいえない。このような事由は、相手方の同意がない限り「顕著な事由」には当たらない。したがって、裁判所が適法に指定された期日に弁論を行い、再開申請を容れなかったとしても、職権の範囲内であって審理不尽の違法は認められない。
結論
本件期日変更申請の却下および弁論の終結に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
当事者本人の都合による期日変更の制限を明確にした判例である。実務上、特に第一回期日において被告側が欠席する場合の擬制陳述等とは異なり、積極的な期日変更を求める場合には、病気や災害等の不可抗力に近い「顕著な事由」が必要とされる。会社業務の都合程度では、相手方の不同意を押し切ってまで変更を認めるべき法的義務を裁判所に負わせるものではないことを示している。
事件番号: 昭和32(オ)830 / 裁判年月日: 昭和35年3月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者の疾病や代理人の辞任を理由とする期日変更の申立てについて、疾病が真に出頭不能な程度であることを推知させる資料がなく、かつ期日までに対処可能な時間的猶予がある場合には、裁判所が申立てを却下して不出頭のまま結審しても適法である。 第1 事案の概要:上告人の訴訟代理人は、指定された口頭弁論期日の2…