判旨
期日変更および弁論再開の許否は裁判所の職権に属し、当事者の不出頭が責めに帰すべき事由に基づく場合には、期日変更を認めず不出頭のまま審理・判決しても違法ではない。
問題の所在(論点)
裁判所の期日変更権(民事訴訟法93条1項)および弁論再開権(同153条)の行使に関する裁量の範囲、ならびに明示の却下決定を欠く手続の適法性が問題となる。
規範
続行期日の変更申請および一旦終結した弁論の再開申請に対する許否は、専ら裁判所の職権に委ねられている。したがって、裁判所はこれらの申請に対し必ずしも明示の決定を要せず、申請があるにもかかわらず期日を開始・進行した場合は申請却下の決定とその告知があったものと解される。
重要事実
控訴人(上告人)は、第一回口頭弁論期日の変更を得た後の次回期日(5月10日)についても、診断書を添えて再度期日変更を申請した。しかし、裁判所は明示の決定をしないまま期日を開始し、控訴人不出頭のまま弁論を終結して判決を言い渡した。控訴人は、期日変更を認めず弁論の機会を与えなかったこと、および弁論再開申請を容れなかったことの違法を主張して上告した。
あてはめ
期日変更については、所論の診断書には病状の起点や代理人選任の余地の有無等の具体的記載がなく、不出頭が上告人の責めに帰すべからざる事由に基づくものとは認められない。このような状況下で、申請にかかわらず期日を進行させたことは、申請却下の決定とその告知があったと解するのが相当である。また、弁論の再開についても職権事項であり、再開しないことで新証拠等の提出が制限されたとしても不当とはいえない。
結論
裁判所が期日変更申請を容れず、不出頭のまま審理・判決したこと、および弁論を再開しなかったことに違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
裁判所の訴訟指揮権に関する広範な裁量を認めた判例である。答案上は、当事者が不出頭のまま判決がなされた場合の不意打ち防止や手続的保障の観点から検討する際、本判例を前提に「責めに帰すべき事由」の有無から裁量権の逸脱・濫用の有無を論じることになる。
事件番号: 昭和32(オ)830 / 裁判年月日: 昭和35年3月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者の疾病や代理人の辞任を理由とする期日変更の申立てについて、疾病が真に出頭不能な程度であることを推知させる資料がなく、かつ期日までに対処可能な時間的猶予がある場合には、裁判所が申立てを却下して不出頭のまま結審しても適法である。 第1 事案の概要:上告人の訴訟代理人は、指定された口頭弁論期日の2…