判旨
裁判所が特定の表現を用いた判示を行ったとしても、直ちに予断をもって裁判したとはいえず、証拠の採否や事実認定は原審の裁量に属する。
問題の所在(論点)
裁判所の判示内容から裁判官の「予断」の存在を推認し、裁判の公正を争うことができるか。また、証拠の採否や事実認定の当否が上告理由となるか。
規範
裁判官が判決において特定の判示を行ったことをもって、直ちに当該裁判官が予断をもって裁判したと評価することはできず、証拠の採否や事実の認定は、特段の事情がない限り原審の専権事項に属する。
重要事実
上告人が、原審の判決文中の特定の記載内容を捉えて、裁判所が予断をもって裁判を行ったと主張し、併せて原審における証拠申出の採否、証拠の取捨選択、および事実認定の妥当性を争って上告した事案。
あてはめ
本件において、上告人が指摘する原審の判示があったとしても、そのことのみから裁判所が予断をもって裁判したと断定することはできない。また、その他の主張は証拠の取捨選択や事実認定という原審の裁量事項を争うものにすぎず、適法な上告理由に当たらない。
結論
本件上告は棄却される。裁判所の判示に予断はなく、事実認定等に関する主張も採用し得ない。
実務上の射程
裁判官の忌避や判決の公正さを争う際、単に判決理由中の表現や認定の手法を捉えるだけでは足りないことを示す。実務上は、証拠法則違反や論理法則・経験則違反を具体的に指摘しない限り、事実認定を覆すことは困難であるという原則を確認するものである。
事件番号: 昭和31(ヤ)14 / 裁判年月日: 昭和32年12月26日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】判決において主張された論旨に対して何らかの判断が示されている以上、その内容が仮に誤っていたとしても、民事訴訟法上の再審事由である「判断の遺脱」には当たらない。 第1 事案の概要:再審原告は、上告審が第二審判決の審理不尽に関する上告論旨に対し、実態を明らかにする判断を欠いているとして再審の訴えを提起…