判旨
上告審において原審の証拠取捨や事実認定の適法性を争うことは、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違背を主張するものとは認められない限り、上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
原審による事実認定および証拠の取捨選択の不当性を主張することが、適法な上告理由(判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違背)に該当するか。
規範
民事訴訟法(現行法312条等に相当)上の上告理由として、原審が行った証拠の取捨選択および事実の認定を非難することは、原則として認められない。事実認定の適否は法律論ではなく事実論に属するため、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違背が認められない限り、上告裁判所による介入の対象外である。
重要事実
上告人は、原判決が証人D、E、Fの各証言に基づいて行った事実認定に誤りがあるとし、その証拠取捨の不当性を主張して上告を提起した。
あてはめ
最高裁判所は、原判決が挙げた各証人の証言等の記載に照らせば、原審の事実認定は適法な証拠調べに基づくものであると判断した。上告人の主張は、単に原審が適法に行った証拠の取捨や事実認定を非難するものに過ぎず、原判決を破棄すべき「判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違背」には該当しないと解される。
結論
本件上告は棄却される。原審の事実認定に違法はなく、適法な上告理由に当たらない。
実務上の射程
事実認定の不当性を争う主張は、経験則や論理則に反する特段の事情がない限り、上告審での審理対象とはならない。答案上、事実認定の是非を上告理由とする主張の当否を検討する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和32(オ)661 / 裁判年月日: 昭和34年5月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において原審の事実認定を争うことは、それが原審の専権に属する証拠の取捨および事実の認定に対する非難にすぎない場合、上告理由として認められない。 第1 事案の概要:上告人が、原審が認定した事実およびその基礎となった証拠の取捨選択の不当を理由として、最高裁判所に上告を提起した事案。判決文中に具体…