判旨
当事者が事実審の口頭弁論において主張しなかった事実について、裁判所が判断を示さなかったとしても違法ではない。また、証拠調べの要否や限度の決定は事実審の自由裁量に属する。
問題の所在(論点)
当事者が事実審において主張しなかった事実について、裁判所が判断を示さないことは違法か。また、一度決定した証拠調べを取り消す等の判断は裁判所の裁量権の範囲内か。
規範
弁論主義に基づき、裁判所は当事者が主張しない事実を判決の基礎とすることはできず、主張のない事実について判断を示す必要もない。また、証拠調べの実施や取消し等の決定は、特段の事情がない限り、事実審裁判所の自由裁量に属する。
重要事実
上告人は、証拠調べの決定が取り消されたこと、および内金2万円の弁済の事実があることを理由に、原判決の違法を主張して上告した。しかし、記録上、証拠調べの決定は原審の口頭弁論において適法に取り消されており、また、内金弁済の事実は上告人が原審において主張していなかった事項であった。
あてはめ
本件では、上告人が主張する内金弁済の事実は、原審の口頭弁論終結に至るまで当事者から提出されていなかった。したがって、裁判所がこれについて判断しなかったことに何ら落ち度はない。また、証拠調べの決定の取消しについても、口頭弁論において適法に行われており、証拠調べの範囲を画定することは事実審の裁量権の行使として適法である。
結論
上告棄却。当事者が主張しない事実について判断しないことは当然であり、証拠調べの実施判断に関する原審の裁量に違法はない。
実務上の射程
弁論主義の第一命題(主張責任)を再確認する事案である。答案上は、当事者が主張していない主要事実を裁判所が認定した場合の違憲・違法性を論じる際の前提として、あるいは、職権証拠調べが否定される民事訴訟の基本原則(証拠調べの必要性判断の裁量)を説明する際に活用できる。
事件番号: 昭和31(オ)655 / 裁判年月日: 昭和32年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】期日変更および弁論再開の許否は裁判所の職権に属し、当事者の不出頭が責めに帰すべき事由に基づく場合には、期日変更を認めず不出頭のまま審理・判決しても違法ではない。 第1 事案の概要:控訴人(上告人)は、第一回口頭弁論期日の変更を得た後の次回期日(5月10日)についても、診断書を添えて再度期日変更を申…