判旨
証拠調べの範囲の決定は裁判所の職権(民事訴訟法旧259条)に属し、事実認定は原審の専権事項であるため、これらに対する非難や判決に影響を及ぼさない訴訟法違反の主張は、上告理由として認められない。
問題の所在(論点)
裁判所の証拠調べの範囲に関する職権行使や、原審の専権に属する事実認定の当否を、上告理由として争うことができるか。また、判決に影響を及ぼさない程度の訴訟法違反が上告理由となるか。
規範
裁判所は、当事者が申し立てた証拠であっても、取り調べる必要がないと認めるときは、これを取り調べないことができる。また、事実の認定は原審の専権に属する事項であり、判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟法違反がない限り、上告審がこれを覆すことはできない。
重要事実
上告人らは、原審における証拠調べの限度に関する職権行使や事実認定に不服があるとして上告を提起した。また、判決主文に影響を及ぼすとは認められない程度の訴訟法違反があることも併せて主張した。
あてはめ
上告人らの主張は、証拠調べの限度に関する裁判所の職権行使(民訴旧259条)を非難するもの、あるいは原審の専権に属する事実認定を非難するものにすぎない。また、主張されている訴訟法違反も判決主文に影響を及ぼすものとは認められず(民訴旧394条参照)、原判決の解釈を誤解している部分も含まれるため、採用の余地はない。
結論
本件上告を棄却する。裁判所の証拠調べに関する職権行使や事実認定に対する不服は、適法な上告理由とはならない。
実務上の射程
裁判所の証拠採用の自由(証拠決定の裁量)を再確認するものであり、実務上、証拠不採用を直ちに違法として争うことの困難さを示している。ただし、判決に影響を及ぼす重大な訴訟手続の違憲・違法がある場合には別途検討の余地がある。
事件番号: 昭和32(オ)661 / 裁判年月日: 昭和34年5月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において原審の事実認定を争うことは、それが原審の専権に属する証拠の取捨および事実の認定に対する非難にすぎない場合、上告理由として認められない。 第1 事案の概要:上告人が、原審が認定した事実およびその基礎となった証拠の取捨選択の不当を理由として、最高裁判所に上告を提起した事案。判決文中に具体…