判旨
統制違反による売買の無効を主張するには、具体的な違反事実の主張立証が必要であり、また弁論期日に不出頭の当事者に対しても告知された判決言渡期日は有効である。
問題の所在(論点)
1. 統制法規違反による契約無効を主張する場合、どの程度の具体性をもって事実を主張すべきか。 2. 口頭弁論期日に欠席した当事者に対し、その期日に指定された判決言渡期日の告知を、別途呼出状の送達によらず行うことができるか。
規範
1. 統制法規の適用が裁判所の職務であっても、当事者がその前提となる具体的な違反事実を主張立証しない限り、裁判所は違反の有無を判断できない。 2. 弁論期日に不出頭の当事者に対し、出頭した相手方との間で弁論を終結し判決言渡期日を指定告知した場合、当該告知は不出頭の当事者に対しても有効であり、別途呼出状の送達を要しない。
重要事実
化学製品の売買代金請求訴訟において、被告(上告人)は、本件商品が統制物資であることを理由に、売買取引から適法に代金債権は発生しない旨を主張した。しかし、具体的な品種、銘柄、数量等に即した違反事実の主張は行わなかった。また、原審の口頭弁論期日に被告が不出頭であった際、裁判所は出頭した原告に弁論を命じて結審し、判決言渡期日を指定告知したが、被告へ別途呼出状は送達されなかった。
あてはめ
1. 本件化学製品は多種多様な銘柄等に基づき統制法規が定められているため、単に「統制物資である」との抽象的主張のみでは、裁判所が判断の前提とする具体的情報の提供として不十分である。 2. 適式な呼出を受けながら口頭弁論期日に欠席した以上、その期日において適法に行われた判決言渡期日の指定告知の効果を甘受すべきであり、民事訴訟法上の手続的保障として重ねての呼出状送達は不要である。
結論
1. 具体的事実の主張がない限り統制違反の判断はなされず、原判決に違法はない。 2. 不出頭の当事者に対する判決言渡期日の告知は有効であり、呼出状送達を欠いた手続に瑕疵はない。
実務上の射程
弁論主義の適用範囲(特に公の秩序に関わる法規違反の主張)において、当事者の主張責任の程度を示す。また、判決言渡期日の告知手続に関する簡略化を認める実務上の処理を肯定する射程を有する。
事件番号: 昭和31(オ)451 / 裁判年月日: 昭和32年11月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】経済統制法規に違反する給付がなされた場合であっても、その後に締結された金員返還契約は、特段の事情がない限り、当該法規違反の一事をもって無効とはならない。 第1 事案の概要:被上告人は塊炭の割当配給を受け、その処分権を有していた。被上告人は上告人とともに駅を訪れ、貨物係に対して塊炭一車分を上告人に引…