控訴審の終局判決においてなされた仮執行に関する裁判の違法を主張することは、適法な上告理由に当らない。
控訴審の終局判決においてなされた仮執行に関する裁判の違法と上告理由
民訴法376条1項,民訴法196条
判旨
適正賃料の算定において、固定資産税評価額の上昇率に基づき地価の騰貴を推認し、これを基準に賃料額を算出することは、特段の事情がない限り許容される。
問題の所在(論点)
適正賃料の算定において、固定資産税評価額の上昇率を基準として賃料の上昇分を算出する手法が、事実認定の合理性を欠き違法となるか。
規範
土地の適正賃料を算定するにあたり、固定資産税評価額および税額の上昇が認められる場合には、特段の事情のない限り、これに見合う地価の騰貴があったと認めるのが相当である。したがって、過去の賃料額に当該上昇率を乗じて現在の賃料額を算出する手法は、合理的な算定方法として是認される。
重要事実
上告人と被上告人との間で土地の賃料額が争われた事案。原審は、証拠(甲第3号証)に基づき、昭和28年度と昭和34年度における本件土地の固定資産税評価額および税額を認定した。その上で、評価額の上昇率を算出し、これを昭和28年当時の賃料に乗ずることで、昭和35年1月当時および昭和36年12月当時の適正賃料額を算定した。これに対し上告人は、固定資産税評価額の上昇率は地価や賃料の上昇率と一致するものではないとして、原審の判断に理由不備等があると主張して上告した。
あてはめ
本件において、固定資産税評価額および税額が認定された上昇率で高騰している事実に照らせば、これに伴う地価の騰貴があったと推認できる。本件ではこの推認を妨げるような「特段の事情」は認められない。したがって、客観的な数値である固定資産税評価額の上昇率を既知の賃料に乗じて現在の賃料を算出する手法は、経験則に照らし合理的な認定判断といえる。上告人の主張は、評価額の上昇率と賃料の上昇率が対応しないという独自の前提に立つものであり、原審の認定を覆すに足りない。
結論
固定資産税評価額の上昇率を基準とした賃料算定に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
賃料増減額請求事件等において、過去の合意賃料を基礎にスライドさせて現行賃料を算定する「スライド法」の合理性を支える判例。固定資産税評価額という客観的指標を用いることの正当性を付与しており、実務上の立証において極めて重要な指針となる。
事件番号: 昭和34(オ)1130 / 裁判年月日: 昭和37年12月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地法12条(現借地借家法11条1項)の賃料増額請求において、直近の賃料合意が本来合意されるべき適正額よりも低い暫定的なものであった場合には、合意後短期間であっても諸般の事情を考慮して大幅な増額請求が認められる。 第1 事案の概要:賃貸人(被上告人)は昭和22年に本件宅地を賃料坪10円で賃貸した。…