一 公職選挙法別表第二が選挙区の選挙人の人口数に比例して改訂されていないため、議員の選出につき不均衡を生じていても、現在の程度では、憲法第一四条、第四四条、第四三条、第四七条、第一三条、第一一条、第七六条の趣旨に違反するということはできない。 二 (補足意見がある)
公職選挙法別表第二の合憲性
公職選挙法14条,公職選挙法別表第2
判旨
参議院議員選挙の定数配分が人口に比例していないことは、直ちに憲法14条1項に違反するものではなく、立法府の合理的裁量の範囲内に属する。人口不均衡が一定の程度に達しても、それが直ちに違憲とされるわけではなく、現在の程度では立法政策の当否の問題にとどまる。
問題の所在(論点)
公職選挙法別表二が定める参議院議員の定数配分規定が、投票価値の不均衡を理由として憲法14条1項に違反し、無効となるか。
規範
各選挙区にいかなる割合で議員数を配分するかは、原則として立法府である国会の権限に属する立法政策の問題である。議員数の配分が選挙人の人口に比例していないという一事のみをもって、憲法14条1項に反し無効であると断ずることはできない。不均衡が生じたとしても、それが「立法政策の当否の問題」にとどまる限度では違憲とはならない。
重要事実
上告人は、参議院議員選挙における公職選挙法14条および同法別表二に基づく議員定数配分が、人口数に比例しておらず投票価値の不平等を生じさせているとして、憲法14条1項(法の下の平等)等に違反し無効であると主張して選挙無効訴訟を提起した。
あてはめ
最高裁は、定数配分の決定は国会の広範な立法裁量に委ねられていると判断した。人口比率以外にも、行政区画の尊重や参議院の半数改選制度(憲法46条)等の諸要素を考慮する必要がある。本件における人口不均衡の現状を検討しても、その不均衡は「現在の程度」においてはなお立法政策の範疇に属するものであり、憲法が許容する裁量の範囲を逸脱して違憲を生じさせるものとは認められない。
結論
本件の議員定数配分規定は憲法14条1項に違反せず、本件上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は、定数不均衡訴訟において「立法裁量論」を前面に出し、司法消極主義的な立場を維持した初期の重要判例である。後の昭和51年大法廷判決等で「合理的期間内での是正の有無」という枠組みが示される前の段階の判断として位置づけられ、答案上は裁量権の逸脱・濫用を検討する際の発端として参照される。
事件番号: 昭和54(行ツ)65 / 裁判年月日: 昭和58年4月27日 / 結論: 棄却
公職選挙法(昭和五七年法律第八一号による改正前のもの)一四条、同法別表第二による選挙区及び議員定数の定めは、昭和五二年七月一〇日の参議院議員選挙当時、憲法一四条一項、一五条一ないし三項、四三条一項、四四条但し書に違反するに至つていたものとはいえない。