公職選挙法(昭和五七年法律第八一号による改正前のもの)一四条、同法別表第二の参議院地方選出議員の議員定数配分規定は、昭和五五年六月二二日の参議院議員選挙当時、憲法一四条一項に違反するに至つていたものとはいえない。 (意見がある。)
公職選挙法(昭和五七年法律第八一号による改正前のもの)一四条、同法別表第二の参議院地方選出議員の議員定数配分規定の合憲性
憲法14条1項,公職選挙法(昭和57年法律第81号による改正前のもの)14条,公職選挙法別表第2
判旨
参議院議員選挙の定数配分規定において、選挙区間の投票価値に著しい不平等が生じ、それが相当期間継続して是正されない場合に初めて、国会の立法裁量権の限界を超え憲法違反となる。
問題の所在(論点)
公職選挙法の参議院議員定数配分規定が、投票価値の不平等により憲法14条1項等に違反するか。
規範
1. 参議院議員選挙制度は、二院制の下で国民の意見を公正・効果的に代表させるための方法として、国会の立法裁量権に委ねられている。 2. したがって、投票価値の平等の要求は、人口比例主義を基本とする制度に比べ一定の譲歩を免れない。 3. 定数配分規定が憲法に違反するのは、人口異動により当該選挙制度の仕組みに照らして到底看過できない程度の投票価値の著しい不平等が生じ、かつ、それが相当期間継続しているにもかかわらず是正措置を講じないことが、国会の立法裁量権の限界を超えると判断される場合に限られる。
重要事実
昭和58年当時の参議院議員選挙(地方選出議員)に関する事案。同選挙制度は、全都道府県に各2議席を配分した上で、残余を人口比例で配分する仕組みを採っていた。本件選挙時における選挙区間の最大格差は1対5.37であり、昭和52年選挙時の1対5.26から拡大していた。また、一部の選挙区間で、人口の少ない区の定数が人口の多い区の定数を上回るいわゆる「逆転現象」も生じていた。
あてはめ
1. 参議院の独自の役割に基づく選挙制度の仕組み自体は、立法裁量の範囲内として合理性が認められる。 2. 本件選挙当時の最大格差1対5.37は、先例(昭和52年選挙)における格差と大きく異なるものではない。 3. 逆転現象が一部に見られるとしても、本件選挙当時において、当該選挙制度の下で到底看過できないほどの著しい不平等が生じていたとはいえず、また、その是正を怠ったことが裁量権の限界を超えたとも認められない。
結論
本件参議院議員選挙当時、議員定数配分規定は憲法14条1項等に違反していたとはいえず、合憲である。
実務上の射程
参議院選挙の投票価値の不平等に関するリーディングケース(昭和58年大法廷判決の踏襲)。「著しい不平等状態」と「相当期間の徒過」という二段階の違憲審査枠組みを示す。参議院の独自性を理由に衆議院(1対3基準等)よりも格差が広く容認される傾向にあることを論述する際に用いる。
事件番号: 昭和62(行ツ)127 / 裁判年月日: 昭和63年10月21日 / 結論: 棄却
公職選挙法一四条、同法別表第二の参議院選挙区選出議員の議員定数配分規定は、昭和六一年七月六日の参議院議員選挙当時、憲法一四条一項に違反するに至つていたものとはいえない。 (反対意見がある。)