公職選挙法一四条、同法別表第二の参議院選挙区選出議員の議員定数配分規定は、昭和五八年六月二六日の参議院議員選挙当時、憲法一四条一項、一五条一ないし三項、四三条一項、四四条但し書に違反するに至つていたものとはいえない。
公職選挙法一四条、同法別表第二の参議院選挙区選出議員の議員定数配分規定の合憲性
憲法14条1項,憲法15条1ないし3項,憲法43条1項,憲法44条但し書,公職選挙法14条,公職選挙法別表第2
判旨
参議院議員選挙の定数配分規定は、地域代表的要素等の独自性を有する選挙制度の仕組みに照らし、投票価値の不平等が看過できない程度に達し、かつ是正措置を講じないことが国会の裁量権の限界を超えた場合に限り憲法違反となる。
問題の所在(論点)
参議院議員選挙区選出議員の定数配分規定が、投票価値の不平等により憲法14条1項等に違反するか。
規範
選挙制度の決定は国会の広範な立法裁量に委ねられており、参議院の地域代表的要素等を踏まえると、人口比例主義に基づく投票価値の平等の要求は一定の譲歩・後退を免れない。したがって、議員定数配分規定が憲法に違反するのは、①投票価値の不平等が当該選挙制度の仕組みに照らして到底看過できない程度の著しい不平等状態にあり、かつ、②それが相当期間継続しているにもかかわらず是正措置を講じないことが、国会の裁量的権限の限界を超えると判断される場合に限られる。
重要事実
昭和58年施行の参議院議員選挙(選挙区選出)において、議員1人当たりの選挙人数の較差が最大1対5.56に拡大し、一部の選挙区間でいわゆる逆転現象が生じていた。当時の選挙制度は、3年ごとの半数改選を前提に各都道府県に最低2議席を配分し、残余を人口比例で偶数配分する仕組みであり、地域代表的な要素が加味されていた。
あてはめ
本件選挙当時の最大較差1対5.56は、衆議院とは異なる参議院の選挙制度の仕組み(地域代表的要素等)を前提とすれば、いまだ違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態(要件①)が生じていたとはいえない。また、国会が是正措置を講じなかったことが裁量権の限界を超えた(要件②)とも認められない。
結論
本件選挙当時において、議員定数配分規定は憲法14条1項等に違反するとはいえず、本件選挙は有効である。
実務上の射程
参議院の独自性(地域代表性、半数改選制)を理由に、衆議院よりも広い国会の裁量を認める枠組み。最大較差5.56倍までを合憲とする基準として機能したが、後の判例(平成24年・26年大法廷判決等)により、地域代表的要素を過度に重視することは否定される方向に変化している点に留意が必要。
事件番号: 昭和54(行ツ)65 / 裁判年月日: 昭和58年4月27日 / 結論: 棄却
公職選挙法(昭和五七年法律第八一号による改正前のもの)一四条、同法別表第二による選挙区及び議員定数の定めは、昭和五二年七月一〇日の参議院議員選挙当時、憲法一四条一項、一五条一ないし三項、四三条一項、四四条但し書に違反するに至つていたものとはいえない。