一 平成六年法律第四七号による参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の改正の結果、選挙区間において、平成二年の国勢調査による人口に基づく議員一人当たりの人口及び右改正当時における議員一人当たりの選挙人数にそれぞれ最大一対四・八一及び最大一対四・九九の較差が残ることとなったとしても、右改正をもって国会の立法裁量権の限界を超えるものとはいえず、平成七年七月二三日施行の参議院議員選挙当時右の較差は更に縮小しているから、公職選挙法一四条、別表第三の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は、右選挙当時、憲法一四条一項に違反していたものということはできない。 二 同一選挙区内の複数の選挙人が提起する選挙の効力に関する訴訟は、類似必要的共同訴訟に該当しない。
一 公職選挙法一四条、別表第三の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の合憲性 二 同一選挙区内の複数の選挙人が提起する選挙の効力に関する訴訟と類似必要的共同訴訟
憲法14条1項,公職選挙法14条,公職選挙法204条,公職選挙法別表第3,民訴法40条1項
判旨
憲法14条1項は投票価値の平等を要求するが、参議院議員の選挙制度については国会に広い裁量権が認められる。都道府県を単位とする仕組み上、投票価値の平等は一定の譲歩を免れず、不平等が裁量の限界を超えて看過できない程度に達しない限り、定数配分規定は合憲である。
問題の所在(論点)
参議院選挙区選出議員の定数配分規定が、投票価値の不平等を理由に憲法14条1項の法の下の平等に違反するか。
規範
議員定数配分規定の合憲性は、選挙制度の仕組みにおいて投票価値の平等の重要性に照らし到底看過することができないと認められる程度の著しい不平等状態が生じ、かつ、それが複雑・高度な政策的考慮に基づく国会の裁量的権限の限界を超えると判断される場合に初めて違憲となる。参議院においては、二院制の趣旨や都道府県の歴史的・政治的実体を反映させる意義から、人口比例主義に基づく投票価値の平等の要求は一定の譲歩を免れない。
重要事実
平成6年の公職選挙法改正(本件改正)により、参議院選挙区選出議員の定数配分が見直され、4増4減の定数調整が行われた。その結果、本件選挙(平成7年)当時、選挙区間における議員1人当たりの選挙人数の最大較差は1対4.97であった。原告(上告人)らは、この較差は投票価値の平等に反し憲法14条1項等に違反すると主張して、選挙の無効を求めた。
あてはめ
本件改正は逆転現象の解消や較差是正を目的としており、人口較差は最大1対6.48から4.81(国勢調査ベース)へと縮小した。参議院議員に地域代表的要素を持たせ、定数配分を長期に固定して安定的に反映させる立法政策には合理性がある。1対4.97という較差は、参議院の独自の仕組みの下で投票価値の平等の重要性に照らしても、到底看過できない程度の不平等とはいえず、国会の裁量の限界を超えたものとは認められない。
結論
本件定数配分規定は憲法14条1項等に違反せず、合憲である。したがって、本件選挙は有効である。
実務上の射程
参議院の定数訴訟におけるリーディングケースの一つ。衆議院に比べて広範な裁量を認め、「都道府県単位」の意義を強調する。その後、平成24年以降の判例法理(「合区」を含む抜本的是正の要求)により本判決の裁量重視の姿勢は修正されているが、二院制の独自性を考慮する枠組み自体は依然として重要である。
事件番号: 平成15(行ツ)24 / 裁判年月日: 平成16年1月14日 / 結論: 棄却
公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は,平成13年7月29日施行の参議院議員選挙当時,憲法14条1項に違反していたものということはできない。 (補足意見及び反対意見がある。)