公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は,平成13年7月29日施行の参議院議員選挙当時,憲法14条1項に違反していたものということはできない。 (補足意見及び反対意見がある。)
公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の合憲性
憲法14条1項,公職選挙法14条,公職選挙法別表第三
判旨
参議院議員定数配分規定の合憲性は、国会の広範な立法裁量を尊重し、投票価値の不平等がその制度の仕組みに照らして到底看過できない程度の著しい状態に達し、かつ是正措置を講じないことが裁量の限界を超えたと認められる場合に初めて違憲となる。平成13年参院選当時の最大較差5.06倍は、都道府県単位の選挙区制等の合理性や逆転現象解消の努力を考慮すれば、いまだ立法裁量の範囲内であり合憲である。
問題の所在(論点)
公職選挙法の参議院議員定数配分規定が、選挙区間における投票価値の不平等を生じさせている点において、憲法14条1項(法の下の平等)等に違反し、これに基づき行われた選挙が無効となるか。
規範
憲法14条1項は投票価値の平等を要求するが、選挙制度の具体的内容は国会の広い裁量に委ねられている(43条、47条)。したがって、人口比例主義が唯一の基準ではなく、他の政策的目的(二院制の趣旨、都道府県を単位とする地域代表的性格、半数改選制等)との調和において決定される。定数配分規定が違憲となるのは、投票価値の平等の重要性に照らして到底看過することができないと認められる程度の著しい不平等状態が生じ、かつ、それを相当期間是正しないことが、複雑高度な政策的考慮を要する国会の裁量権の限界を超えると判断される場合に限られる。
重要事実
平成13年7月施行の参議院議員選挙(本件選挙)について、東京都選挙区の選挙人が定数配分規定の違憲・無効を主張。本件改正では定数削減(10減)が行われ、いわゆる逆転現象の解消や較差拡大防止のため定数4の3選挙区を各2削減したが、最大較差は依然として1対4.79(人口基準)ないし1対5.06(選挙人数基準)であった。参議院は当初から都道府県を単位とする偶数配分を基本とし、人口比例以外の要素を加味した仕組みを維持してきた。
あてはめ
参議院の選挙区選挙には、都道府県を政治的・社会的な一つのまとまりとして捉え、その住民意思を集約的に反映させるという意義があり、その制度設計には相応の合理性がある。本件改正は定数削減にあたり逆転現象を解消しており、投票価値の平等への配慮が全く欠如していたわけではない。上告人が主張するような合区や定数1の導入は、地方自治の意義や投票機会の不平等の懸念(6年に1度の選挙)等の新たな問題を生む可能性があり、従来の仕組みを維持することに合理性が認められる。これらを総合すれば、当時の最大較差5.06倍という不平等は、当該制度の下で到底看過できない程度に達しているとはいえず、立法裁量の限界を超えたものとは認められない。
結論
本件定数配分規定は本件選挙当時において憲法に違反するものではなく、本件選挙も有効である。
実務上の射程
参議院議員選挙の定数較差に関するリーディングケース。衆議院と比較して、参議院における「地域代表的性格」や「半数改選制(偶数配分)」に由来する立法裁量の広さを認める際の規範として機能する。ただし、その後の法改正や累次判決により、都道府県単位の枠組み(合区の必要性等)への評価は厳格化しており、答案作成時は最新の判例動向との差異に注意を要する。
事件番号: 平成23(行ツ)64 / 裁判年月日: 平成24年10月17日 / 結論: 破棄自判
公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の下で,平成22年7月11日施行の参議院議員通常選挙当時,選挙区間における投票価値の不均衡は違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたが,上記選挙までの間に上記規定を改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず,上記規定が憲…