原判決が本件当事者間の本件各株式取引に関し確定した諸般の事情のもとでは、右取引は昭和二八年大蔵省令第七五号第八条第二項約定の対等売買を行なつた場合に該当せず、同令九条の規定による禁止に違背するといえない。
株式の取引が昭和二八年大蔵省令第七五号第八条第二項所定の対当売買を行なつた場合に該当しないとされた事例。
証券取引法49条に規定する取引及びその保険金に関する省令(昭和28年大蔵省令75号)8条2項,証券取引法49条に規定する取引及びその保険金に関する省令(昭和28年大蔵省令75号)9条
判旨
株式取引が当時の大蔵省令(昭和28年大蔵省令第75号)に規定される禁止規定に違反するか否かは、取引の態様が省令所定の対価売買に該当するか等の諸般の事情を総合して判断されるべきである。
問題の所在(論点)
本件株式取引が、昭和28年大蔵省令第75号8条2項所定の対価売買に該当し、同令9条の禁止規定に違反するか。また、それによって取引の効力が否定されるか。
規範
特定の株式取引が、昭和28年大蔵省令第75号8条2項所定の対価売買に該当し、同令9条の禁止規定に抵触するか否かは、当該取引に至った経緯、取引の目的、決済の方法を含む諸般の事情を考慮して判断する。
重要事実
本件は、当事者間で行われた株式取引の有効性(または適法性)が争われた事案である。上告人は、当該取引が当時の大蔵省令第75号9条で禁止されている行為に該当すると主張したが、原審は諸般の事情を認定した上で、同令8条2項所定の「対価売買」には該当せず、禁止規定に違反しないと判断した。
あてはめ
最高裁は、原判決が確定した諸般の事情(具体的な事実は判決文からは不明)に照らせば、本件株式取引は対価売買を行った場合に該当しないとした原審の判断を正当とした。これにより、形式的に禁止規定に抵触するような外観があったとしても、実態として同令9条の規定による禁止に違背するとはいえないと評価した。
結論
本件株式取引は、大蔵省令の禁止規定に違反するとはいえず、適法である。
実務上の射程
本判決は、行政法規や省令による取引制限の解釈において、形式的な該当性だけでなく、実質的な取引態様を「諸般の事情」として考慮する手法を示している。ただし、判旨が極めて簡略であるため、具体的な判断基準の抽出には原審(東京高裁昭和36年2月24日判決)の事実認定を参照する必要がある。
事件番号: 昭和31(オ)855 / 裁判年月日: 昭和35年5月24日 / 結論: 棄却
一 D証券取引所の会員が、上場株式について、取引市場における買付の委託をうけることなく直接顧客と売買契約を締結しても、証券取引法第一二九条に違反するということはできない。 二 前項の契約を凍結することは、特定の場合を除き、旧D証券取引所業務規定第八八条に違反するけれども、これがために、売買契約の私法上の効力を否定すべき…
事件番号: 昭和36(オ)1419 / 裁判年月日: 昭和38年1月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】取締役が会社に対して金銭を貸し付ける行為は、商法265条(現行会社法356条1項2号)にいう取締役と会社との間の取引に該当し、取締役会の承認を欠く場合は無効となる。 第1 事案の概要:上告人(取締役)が、被上告人(株式会社)に対して金銭を貸し付けた(本件貸付行為)。この貸付行為について、取締役会の…