地代家賃統制令による停止統制額のある土地を不法占有する者に対する損害賠償額は、該土地を新たに更地として賃貸することが予見される等の事情のもとでは、右停止統制額によらないで判定されてかまない。
地代家賃統制令による停止統制額ある土地を不法占有する者に対する損害賠償額。
民法709条,地代家賃統制令3条
判旨
土地上に建物を共有して不法占有する者は、居住の有無を問わず、土地所有者に対し、各自が生じさせた損害の全額を賠償する義務(不可分債務または不真正連帯債務)を負う。
問題の所在(論点)
建物を共有することで土地を不法占有する者が複数いる場合、各共有者は居住の有無を問わず、土地所有者に対して損害全額の賠償義務を負うか(民法709条、719条)。
規範
共有建物の所有による土地の不法占有に基づく損害賠償義務は、各共有者が土地全体の利用を妨げているという性質上、各共有者がその全額について賠償責任を負う。この義務は、当該共有建物への居住の有無にかかわらず、建物を共有しているという事実をもって生ずる。
重要事実
土地所有者である被上告人は、土地賃借人であったDから賃借権の無断譲渡を受けた(と主張する)上告人らに対し、建物収去土地明渡および土地占有による損害賠償を請求した。上告人らは、本件土地上の建物を共有することで土地を不法占有していたが、そのうち一部の者は実際に居住していないことを理由に、損害賠償義務の範囲や責任の有無を争った。
事件番号: 昭和39(オ)708 / 裁判年月日: 昭和40年3月16日 / 結論: 棄却
家屋を賃借居住する者は、家屋敷地を占有する。
あてはめ
上告人らは本件土地上の建物を共有しており、これにより土地全体を不法に占有している状態にある。土地の占有は建物所有という形で一体として行われるため、共有者の一人が居住していないとしても、建物所有権を有している以上、土地所有者の所有権行使を全面的に妨げているといえる。したがって、各共有者は不法行為に基づき、被上告人が被った損害全額について賠償義務を免れない。
結論
建物を共有して土地を不法占有する者は、居住の有無を問わず、各自が損害全額の賠償義務を負う。上告人らの主張は理由がなく、請求を認めた原判決は正当である。
実務上の射程
土地の不法占有者が複数(共有者)いる場合の損害賠償債務が「不可分(または不真正連帯)」であることを示した。実務上、土地所有者は共有者のうちの一人に対して全額を請求することが可能であり、答案上も共同不法行為の一般的効果として、各加害者が全額の責任を負う根拠として引用できる。
事件番号: 昭和33(オ)288 / 裁判年月日: 昭和35年6月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】建物を共有して土地を不法占有する者は、共同不法占有者の一人として、他の共有者の有無にかかわらず土地全体を明け渡す義務を負う。この場合、判決の既判力が他の共有者に及ばないことは、当該共有者に対する明渡し請求の可否に影響しない。 第1 事案の概要:上告人は、訴外Dほか1名と本件建物を共有し、当該建物の…
事件番号: 昭和38(オ)1462 / 裁判年月日: 昭和39年6月26日 / 結論: 棄却
賃貸人たる地主は、借地人に対し賃料請求権を有するとしても、いまだ借地人から右賃料の支払を受けていないかぎり、借地権の無断譲受人に対し賃料相当の損害賠償請求ができる。
事件番号: 昭和30(オ)700 / 裁判年月日: 昭和32年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】他人の土地を占有する者は、正当な権原を主張立証しない限り、故意過失の推定を受け不法占有の責を免れない。この理は、不法占有者の相続人が占有を継続し、かつその相続人が未成年者であっても同様に適用される。 第1 事案の概要:被上告人は、上告人らの亡父Dに対し、土地の占有に基づく金銭支払を請求した。Dの死…
事件番号: 昭和39(オ)977 / 裁判年月日: 昭和40年2月19日 / 結論: 棄却
土地所有者が、該土地賃借人に対して賃料請求権を有するからといつて、これがため建物所有者(無断転借人)の敷地不法占有により土地所有者に賃料相当の損害を生じないとはいえない。