家屋を賃借居住する者は、家屋敷地を占有する。
家屋の賃借人と家屋敷地の占有。
民法180条,民法206条
判旨
建物の所有者に限らず、建物に居住しこれを占有する者は、建物を占有することを通じてその敷地(土地)をも占有していると解するのが相当である。
問題の所在(論点)
所有権のない建物居住者が、建物を占有することによって、その敷地をも占有しているといえるか(土地明渡請求の相手方となり得るか)。
規範
建物に居住しこれを占有する者は、建物の占有を通じて、その敷地である土地を占有するものと認められる。
重要事実
被上告人(土地所有者)が、上告人らに対して土地の明け渡し等を求めた事案。上告人A2およびA3は、本件建物に居住しこれを占有していたが、建物の所有権を有していたか、あるいはどのような権原に基づき居住していたか等の詳細は本判決文からは不明である。上告人らは、建物占有のみをもって土地を占有しているとはいえない旨を主張して争った。
あてはめ
上告人A2およびA3が本件建物に居住し、これを現に占有している事実は当事者間に争いがない。建物の存在はその敷地の利用を必然的に伴うものであるから、居住者が建物を占有している以上、その事実をもって直ちに敷地である本件土地を占有していると評価するのが相当である。
事件番号: 昭和39(オ)1308 / 裁判年月日: 昭和40年7月23日 / 結論: 棄却
本訴請求は、建物所有者に収去義務の現存する建物の占有者に対し該建物からの退去を求める趣旨と解せられるから、右占有者が右建物の占有関係を離れてその敷地そのものの占有権原を主張しても、抗弁となりえない。
結論
上告人らが本件建物を占有することにより本件土地を占有しているとした原審の判断は正当であり、被上告人の上告人らに対する請求は肯定される。
実務上の射程
土地所有者が建物居住者(賃借人等)に対して土地明渡請求や不法占拠に基づく損害賠償請求を行う際、居住者が「土地を直接占有していない」との抗弁を封じるための根拠として機能する。ただし、建物収去義務については原則として建物所有者が負う点には留意が必要である。
事件番号: 昭和38(オ)371 / 裁判年月日: 昭和40年1月22日 / 結論: 棄却
地代家賃統制令による停止統制額のある土地を不法占有する者に対する損害賠償額は、該土地を新たに更地として賃貸することが予見される等の事情のもとでは、右停止統制額によらないで判定されてかまない。
事件番号: 昭和35(オ)824 / 裁判年月日: 昭和38年12月19日 / 結論: 棄却
賃借地上に建物を所有する者より当該建物を賃借している者は、当該建物に居住することによつて敷地を占有する権限を右土地所有者に対して有する。
事件番号: 昭和33(オ)717 / 裁判年月日: 昭和35年3月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地をその上に建物を所有して占有する者は、民法188条による権利適法推定を受けないため、土地の占有権原として使用貸借の成立を主張する者がその挙証責任を負う。 第1 事案の概要:上告人は、本件土地上に建物を所有して占有していた。被上告人(土地所有者)からの土地明け渡し請求に対し、上告人は当該土地の使…
事件番号: 昭和31(オ)532 / 裁判年月日: 昭和34年4月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】建物は敷地を離れて存在し得ないため、建物を占有使用する者は、当然にその建物の敷地も占有するものと解される。 第1 事案の概要:第三者(社団法人D協会)が郵政用地の上に建築資材展示場を建築して占有していた。上告人らは、当該建物の一部を占有使用していた。その後、建物の所有者である当該協会が敷地の使用権…