判旨
建物は敷地を離れて存在し得ないため、建物を占有使用する者は、当然にその建物の敷地も占有するものと解される。
問題の所在(論点)
建物の賃借人等、建物の一部を占有使用する者が、その建物の敷地についても占有権原を有するといえるか。また、建物の所有者が土地の使用権を喪失した場合に、建物占有者は不法占有者として土地明け渡し義務を負うか。
規範
建物はその敷地を離れて存在し得ないという性質を有する。そのため、建物を占有使用する者は、おのずからこれを通じてその敷地をも占有するものと解するのが相当である。
重要事実
第三者(社団法人D協会)が郵政用地の上に建築資材展示場を建築して占有していた。上告人らは、当該建物の一部を占有使用していた。その後、建物の所有者である当該協会が敷地の使用権を喪失したため、土地所有者(被上告人)が上告人らに対し、建物からの退去および敷地の明け渡しを求めた。
あてはめ
上告人らは本件建物の一部を占有使用しているところ、建物と敷地の不可分性から、上告人らは占有部分に対応する敷地を占有しているといえる。本件では、建物の所有者である協会が敷地の使用権を喪失しているため、その建物の一部を占有する上告人らによる敷地の占有も、土地所有者に対する関係では権原のない不法占有となる。したがって、上告人らは建物から退去し、敷地を明け渡すべき義務を負う。
結論
建物の一部を占有使用する者は、その敷地をも占有するものと解される。建物所有者が土地の使用権を喪失した以上、建物占有者による敷地の占有は不法占有となり、土地所有者からの退去および敷地明け渡し請求は認容される。
実務上の射程
事件番号: 昭和31(オ)582 / 裁判年月日: 昭和32年4月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】組合員が組合の共同事業のために買い受けた土地は、登記名義にかかわらず組合財産として組合員の共有に属するが、他の組合員全員が持分を放棄し特定の組合員の単独所有とすることを承認した場合には、当該組合員の単独所有に帰する。 第1 事案の概要:被上告人、D、Eの3名は、アイスケーキ製造販売の共同事業(組合…
土地所有者が建物占有者に対して土地所有権に基づく返還請求(明け渡し請求)を行う際の、相手方の「占有」を基礎づける法理として活用できる。建物所有者だけでなく、賃借人等の建物占有者に対しても土地明渡請求を認めた点に実務上の意義がある。
事件番号: 昭和31(オ)814 / 裁判年月日: 昭和32年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地所有者が建物所有者とその賃借人に対し明渡しを求める訴訟は必要的共同訴訟ではなく、また使用貸借の期間満了に基づく土地明渡請求は、締結時の諸般の事情に照らし権利の濫用に当たらない。 第1 事案の概要:土地所有者である被上告人は、借主(D会)との間で使用貸借契約を締結し土地を貸し付けた。同土地上には…
事件番号: 昭和31(オ)763 / 裁判年月日: 昭和34年2月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地賃借人が地上建物を第三者に売却した後、土地所有者との間で土地賃貸借契約を合意解除しても、建物買受人が土地利用権を取得していない以上、建物買受人は土地所有者に対して建物の所有による土地の占有権原を主張できない。 第1 事案の概要:土地所有者Dは、Eに対して本件土地を賃貸し、Eは地上に本件建物を所…
事件番号: 昭和31(オ)627 / 裁判年月日: 昭和33年7月3日 / 結論: 棄却
土地改良法第八条第四項による書類の縦覧期間が法定の二〇日間に満たなくても、満一〇日間縦覧期間が存した以上、同法第一〇条第一項によつてした知事の土地改良区設立認可は当然無効ではない。
事件番号: 昭和39(オ)708 / 裁判年月日: 昭和40年3月16日 / 結論: 棄却
家屋を賃借居住する者は、家屋敷地を占有する。