判旨
組合員が組合の共同事業のために買い受けた土地は、登記名義にかかわらず組合財産として組合員の共有に属するが、他の組合員全員が持分を放棄し特定の組合員の単独所有とすることを承認した場合には、当該組合員の単独所有に帰する。
問題の所在(論点)
1. 組合員の一人が自己の名義で買い受けた土地の所有権の帰属。 2. 組合員全員の合意による組合財産の特定組合員への単独所有化の可否。 3. 他人の建物に居住し商売を営む者が、その敷地を占有しているといえるか。
規範
1. 組合員が共同事業の目的で買い受けた不動産は、その登記名義のいかんを問わず、民法668条により組合員の共有(合有)に属する組合財産となる。 2. 組合財産である不動産について、他の組合員全員が特定の組合員に対して持分を放棄し、その単独所有となることを承認する合意が成立した場合には、当該不動産は当該組合員の単独所有に帰属する。
重要事実
被上告人、D、Eの3名は、アイスケーキ製造販売の共同事業(組合)を営む目的で本件土地を買い受けることとした。本件土地に借地権を有していた被上告人が買主となれば割安で取得できるため、被上告人名義で買い受け、代金はDが出資金として拠出した。その後事業が失敗したため、Dは債務引受の代償として本件土地が完全に被上告人の所有であることを認め、出資金の返還請求もしない旨を契約した。またEも、被上告人から3年間の無償使用の許諾を受けるのと引き換えに、本件土地が被上告人の所有となったことを承認した。
あてはめ
1. 本件土地は共同事業のために買い受けられたものであるから、登記名義にかかわらず一旦は3名の共有(組合財産)となったと解される。 2. その後、Dは出資金返還請求権の放棄とともに土地が被上告人の所有であることを承認し、Eも無償使用の対価として被上告人の単独所有を承認している。これは各組合員が持分を放棄し、被上告人の単独所有に帰せしめる趣旨と解されるため、本件土地は被上告人の単独所有となったといえる。 3. 上告人は家屋所有者の内縁の夫として同所に居住し、商号を掲げて中華料理店を経営している。かかる事実に照らせば、上告人は家屋の居住を通じて本件土地を占有していると評価するのが相当である。
結論
本件土地は被上告人の単独所有に帰属しており、その土地を占有する上告人に対し、建物からの退去による土地明渡しを求めることは正当である。
事件番号: 昭和31(オ)581 / 裁判年月日: 昭和32年4月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】組合員が組合のために土地を買い受けた場合、登記の名義にかかわらず当該土地は組合財産となり、組合員の合有(共有)に属する。また、組合の清算過程で他の全組合員が持分を放棄し、特定の組合員がその所有を承諾されたときは、当該土地はその組合員の単独所有に帰する。 第1 事案の概要:被上告人、訴外D、同Eの3…
実務上の射程
組合財産の帰属に関する基本判例である。答案上は、組合員名義での取得であっても実質的に組合財産(合有)となる点、および清算等の局面で組合員全員の合意があれば特定の個人への所有権移転が認められる点を確認する際に活用できる。また、建物居住者による敷地占有の認定についても実務的な指針となる。
事件番号: 昭和31(オ)532 / 裁判年月日: 昭和34年4月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】建物は敷地を離れて存在し得ないため、建物を占有使用する者は、当然にその建物の敷地も占有するものと解される。 第1 事案の概要:第三者(社団法人D協会)が郵政用地の上に建築資材展示場を建築して占有していた。上告人らは、当該建物の一部を占有使用していた。その後、建物の所有者である当該協会が敷地の使用権…
事件番号: 昭和32(オ)522 / 裁判年月日: 昭和36年4月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】中間省略登記は、関係当事者全員の合意がある場合には有効であり、その合意は必ずしも同時になされる必要はない。 第1 事案の概要:東京都(所有者)からD工業株式会社が本件土地を買い受け、代金を完済した。その後、D工業から被上告人へ当該土地が譲渡された。この際、東京都から被上告人へ直接所有権移転登記を行…
事件番号: 昭和28(オ)792 / 裁判年月日: 昭和30年11月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産の分筆や合筆は、不動産登記法に定める適法な手続によってなされる必要があり、単なる登記簿上の地積増加や事実上の合筆という形式によって、既存の土地が実質的に滅失したり他土地に吸収されたりすることはない。 第1 事案の概要:上告人は、本件係争土地が自己所有の土地であると主張し、対する被上告人は当該…
事件番号: 昭和30(オ)592 / 裁判年月日: 昭和32年9月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賃貸物件の一部の所有権が第三者に移転した場合であっても、賃貸人が当該第三者からその物件を改めて賃借して賃借人に提供し続けることで、従前の賃貸借関係を同一性を保ったまま存続させることができる。 第1 事案の概要:被上告会社は上告会社に対し、複数の物件を一括して賃貸していた。その後、被上告会社から分離…