判旨
中間省略登記は、関係当事者全員の合意がある場合には有効であり、その合意は必ずしも同時になされる必要はない。
問題の所在(論点)
物権変動の実態と異なる中間省略登記がなされた場合において、その有効性が認められるための要件、およびその要件たる「合意」の態様(同時性の要否)が問題となる。
規範
不動産登記制度において、物権変動の過程を一部省略する中間省略登記がなされた場合、当該登記を有効とするためには、中間者を含む関係当事者全員(売主、中間者、譲受人)による合意が必要である。この合意は、必ずしも関係者全員が一同に会して同時になされる必要はなく、順次なされたものであっても最終的に全員の意思が合致していれば足りる。
重要事実
東京都(所有者)からD工業株式会社が本件土地を買い受け、代金を完済した。その後、D工業から被上告人へ当該土地が譲渡された。この際、東京都から被上告人へ直接所有権移転登記を行う中間省略登記が、東京都と被上告人の共同申請によってなされた。上告人は、この登記の有効性を争い、三者間の合意が欠けていること等を主張して争った。
あてはめ
本件において、中間省略登記についてD工業、被上告人、および東京都の三者間に合意があったことが認定されている。また、当該登記は東京都と被上告人の登記申請書によってなされており、登記の実行段階においても意思の合致が認められる。三者の合意は、同時になされることは必要ないため、各当事者間で順次合意が形成され、最終的に三者の意思が合致している以上、本件登記は有効なものとして取り扱われるべきである。
結論
関係当事者全員の合意がある以上、本件中間省略登記は有効であり、登記の抹消を求めることはできない。
実務上の射程
事件番号: 昭和31(オ)582 / 裁判年月日: 昭和32年4月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】組合員が組合の共同事業のために買い受けた土地は、登記名義にかかわらず組合財産として組合員の共有に属するが、他の組合員全員が持分を放棄し特定の組合員の単独所有とすることを承認した場合には、当該組合員の単独所有に帰する。 第1 事案の概要:被上告人、D、Eの3名は、アイスケーキ製造販売の共同事業(組合…
本判決は、中間省略登記の有効要件として「関係当事者全員の合意」を確立したリーディングケースである。司法試験においては、不動産登記法上の原則(物権変動の忠実な反映)と実体法上の有効性の関係を論じる際に用いる。特に「合意の同時性不要」の点は、実務上および答案上のあてはめで頻出する論点であり、関係者間の意思表示を順次拾い上げて合意の存否を検討する際の根拠となる。
事件番号: 昭和28(オ)792 / 裁判年月日: 昭和30年11月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産の分筆や合筆は、不動産登記法に定める適法な手続によってなされる必要があり、単なる登記簿上の地積増加や事実上の合筆という形式によって、既存の土地が実質的に滅失したり他土地に吸収されたりすることはない。 第1 事案の概要:上告人は、本件係争土地が自己所有の土地であると主張し、対する被上告人は当該…
事件番号: 昭和32(オ)366 / 裁判年月日: 昭和34年6月25日 / 結論: 棄却
家屋の所有者がその占有する権原のない場合に、右所有者を代表者とする会社がその家屋の全部を借受けて占有しているときは、右会社は、敷地の所有者に対し、敷地の不法占有による損害賠償責任を負う。
事件番号: 昭和30(オ)592 / 裁判年月日: 昭和32年9月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賃貸物件の一部の所有権が第三者に移転した場合であっても、賃貸人が当該第三者からその物件を改めて賃借して賃借人に提供し続けることで、従前の賃貸借関係を同一性を保ったまま存続させることができる。 第1 事案の概要:被上告会社は上告会社に対し、複数の物件を一括して賃貸していた。その後、被上告会社から分離…
事件番号: 昭和34(オ)1162 / 裁判年月日: 昭和37年3月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産の買受人が、当該不動産の賃貸借契約における賃貸人の地位を承継するためには、譲受人と譲渡人との間で賃貸人たる地位の譲受契約を締結することが必要であり、その代理権の授与も認められる必要がある。 第1 事案の概要:上告人(買受人)は、補助参加人(譲渡人)から本件土地を買い受けるに際し、訴外Dを代理…