判旨
組合員が組合のために土地を買い受けた場合、登記の名義にかかわらず当該土地は組合財産となり、組合員の合有(共有)に属する。また、組合の清算過程で他の全組合員が持分を放棄し、特定の組合員がその所有を承諾されたときは、当該土地はその組合員の単独所有に帰する。
問題の所在(論点)
民法667条以下の組合において、組合員が組合のために取得した不動産の所有権の帰属、および組合解散・整理に伴う不動産の単独所有権への移行の適否が問題となる。
規範
組合の共同事業の用に供する目的で、組合員の出資金を代金として土地が買い受けられた場合、その登記名義にかかわらず、当該土地の所有権は組合財産として全組合員の共有(実質的には合有)に属する。また、組合が解散・整理される過程において、特定の組合員以外の全組合員が、当該土地が当該特定の組合員の所有に属することを認め、出資金の返還請求権を放棄し、または無償使用の承諾を得るなどして持分を放棄したと認められる場合には、当該土地は当該特定の組合員の単独所有に帰属する。
重要事実
被上告人、訴外D、同Eの3名は、アイスケーキ製造販売の共同事業(組合)を営むことを約した。その事業の用に供するため、被上告人が代表して本件土地を買い受けた。代金は、他の組合員が共同事業への出資金として被上告人に交付した金員が充てられた。その後、共同事業は失敗し、整理が行われた。その際、Dは債務引受けの代償として出資金の返還を求めず本件土地が被上告人の所有であることを認める契約を締結し、Eも同様に本件土地が被上告人の所有であることを承認して被上告人から無償使用の許諾を受けた。
あてはめ
まず、本件土地の買受代金が組合員からの出資金によって賄われ、共同事業の用に供する目的で買い受けられた事実から、登記名義が被上告人であっても、実質的には組合財産となり3名の共有に属すると評価される。次に、事業失敗後の整理過程において、Dは「被上告人の単独所有を認め出資金返還を請求しない」旨の契約を締結し、Eも「被上告人の所有を承認し無償使用の許諾を得た」ことから、両名は組合財産に対する持分を放棄したといえる。全組合員のうち2名が持分を放棄し、被上告人がこれを承諾したことにより、組合財産としての共有関係は解消されたと解される。
結論
本件土地は被上告人の単独所有に帰属する。したがって、これと同一の結論を下した原判決に不合理な点はなく、上告は棄却されるべきである。
事件番号: 昭和31(オ)582 / 裁判年月日: 昭和32年4月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】組合員が組合の共同事業のために買い受けた土地は、登記名義にかかわらず組合財産として組合員の共有に属するが、他の組合員全員が持分を放棄し特定の組合員の単独所有とすることを承認した場合には、当該組合員の単独所有に帰する。 第1 事案の概要:被上告人、D、Eの3名は、アイスケーキ製造販売の共同事業(組合…
実務上の射程
組合財産の帰属に関する基本判例である。答案上は、組合名義での登記が認められない実務(不動産登記法)を前提に、組合員個人名義で取得された不動産が「組合財産」として構成員全員に帰属することを論証する際に用いる。また、組合解消時に持分放棄によって特定の者に所有権を集中させる処理の有効性を示す際にも有用である。
事件番号: 昭和31(オ)532 / 裁判年月日: 昭和34年4月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】建物は敷地を離れて存在し得ないため、建物を占有使用する者は、当然にその建物の敷地も占有するものと解される。 第1 事案の概要:第三者(社団法人D協会)が郵政用地の上に建築資材展示場を建築して占有していた。上告人らは、当該建物の一部を占有使用していた。その後、建物の所有者である当該協会が敷地の使用権…
事件番号: 昭和31(オ)814 / 裁判年月日: 昭和32年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地所有者が建物所有者とその賃借人に対し明渡しを求める訴訟は必要的共同訴訟ではなく、また使用貸借の期間満了に基づく土地明渡請求は、締結時の諸般の事情に照らし権利の濫用に当たらない。 第1 事案の概要:土地所有者である被上告人は、借主(D会)との間で使用貸借契約を締結し土地を貸し付けた。同土地上には…
事件番号: 昭和38(オ)371 / 裁判年月日: 昭和40年1月22日 / 結論: 棄却
地代家賃統制令による停止統制額のある土地を不法占有する者に対する損害賠償額は、該土地を新たに更地として賃貸することが予見される等の事情のもとでは、右停止統制額によらないで判定されてかまない。
事件番号: 昭和32(オ)290 / 裁判年月日: 昭和35年3月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】組合において、出資の目的に対し特に対価的給付がなされても出資の性質は失われない。また、損益分配や残余財産処分の約定は民法の任意規定に優先するため、出資の対価が利潤から支払われる必要もない。 第1 事案の概要:上告人とDらは組合契約を締結し、Dは本件土地の使用権を出資の目的とした。この際、Dに対して…